クレイトン・カーショー投手(35)は、ドジャースひと筋で17年目を迎えたレジェンド左腕だ。通算210勝は球団ではドン・サットンに次いで2位で、左腕では最多。大きなカーブと鋭いスライダーで積み上げた2944奪三振は1位だ。サイ・ヤング賞3度は歴代5位タイ。将来の米野球殿堂入りは確実だ。

23年6月、エンゼルス戦で大谷(後方)を左飛に仕留めたドジャース・カーショー
23年6月、エンゼルス戦で大谷(後方)を左飛に仕留めたドジャース・カーショー

大谷翔平投手とは縁がある。17年オフ、日本ハムからポスティングされた大谷は、ロサンゼルスで最終移籍候補の7球団と面談。カーショーはド軍の選手代表として同席していた。だが、エンゼルス入りが決まると「とてつもない時間の無駄だった。DHでやりたいと事前に決めていたようだった。時間と労力を無駄にさせた代理人には怒りを感じる。初めから(ナ・リーグ)15球団を排除するべきだった」と怒り心頭だった。

大谷と18年のオープン戦で初対戦すると見逃し三振を奪った。「もう興味がない。僕らのチームに入らなかったのだからね、まあ頑張って」と素っ気ない対応。22年のオールスターでは1回の先頭打者で中前打を打たれたが、一塁けん制で刺した。その後も公式戦の対戦は11打数無安打4三振。大谷と11打席以上対戦した投手は58人いるが、1度も出塁を許していない投手は3人しかいない。

今オフにFAとなった大谷がド軍と契約すると、風向きが変わった。2月8日、キャンプ地で会見すると「まだ少ししか話していないが、頭がいい。うまくメディアと付き合える。ムーキー(ベッツ)やフレディー(フリーマン)はスーパースターだが、注目は24時間365日、大谷に集まるだろう。チームにとってよい影響を与える」と絶賛。これまでの態度が一変し、チームで4人目のMVPを歓迎した。

カーショーの23年シーズンスタッツ
カーショーの23年シーズンスタッツ

FAとなった昨季終了後、悩んでド軍残留を決めた。「僕はこれまで人生で大きな決断をしたことがなかった。ドジャースからドラフトされて、高校からの彼女と結婚した。決断が必要なかったんだ」。生まれ故郷のテキサス州ダラスに本拠地を置くレンジャーズとの2択だった。チーム最多の131回2/3を投げたが、プレーオフでは1死しか取れずに降板。左肩の手術もあり、心機一転どころか、引退も頭をよぎっていた。

現役続行には大谷、山本、ヘルナンデスらの大型補強が影響を及ぼした。「正直言って、このオフはかなり驚いた。才能はおそらく過去最高だ。私もその一部になれることを期待している」。もう1度、ドジャーブルーで頂点に立つため、夏場にはグラウンドに戻る。【斎藤直樹】

カーショーの年度別メジャー成績
カーショーの年度別メジャー成績

◆クレイトン・カーショー 1988年3月19日、米テキサス州ダラス生まれ。ハイランドパーク高から06年ドラフト1巡目(全体7位)でドジャース入団。08年メジャー昇格。11、13、14年サイ・ヤング賞。14年MVP。最多勝3回、最優秀防御率5回、最多奪三振3回。193センチ、102キロ。左投げ左打ち。今季年俸500万ドル(約7億5000万円)プラス出来高。