マテオ(阪神)が5月12日広島戦の7回に3者連続で押し出し四球を与えた。

 連続押し出しのプロ野球記録は1リーグ時代の47年4月20日溝部(阪急)の4者連続だが、2リーグ制後では16年5月14日多和田(西武)以来17人目のワーストタイ記録だった。12日は砂田(DeNA)もヤクルト戦の11回に押し出しで決勝点を与え、1日に押し出しが4個あった。

 今季は押し出しの場面が目立つ。4月8日に石崎(阪神)同18日には田中豊(日本ハム)が2者連続で与えるなど、5月14日時点の押し出しは合計50個。押し出しが決勝点も6試合ある。ここまで両リーグの試合数は210だから、このペースでいくと最終的な押し出しは204個となり、昨年の111個を大きく上回ってしまう。

 70、80年代に比べ、最近は押し出しが増えている。70年は両リーグで59個しかなく、73年阪神は押し出し四死球を1個も出さなかった。70~89年の20年間でシーズン100個以上は83、85年の2度だったが、90年以降は逆に100個未満が5度しかない。12年から昨年までは6年続けて100個を超えているものの、それでも最多は16年の157個。70年以降に150個以上は2度だけで、200個を超えたシーズンはない。

 80年代にヤクルトで活躍した尾花は押し出し0で引退した。78~91年に通算2203回を投げ、満塁で169人の打者と対戦したが、押し出しは1度もなかった。現役投手を調べてみると、通算500回以上投げている61人の中に押し出し0は1人もいない。制球力に自信のある菅野(巨人)でさえ、すでに3度出している。押し出し0で最も投球回数が多いのは田口(巨人)で、デビューから436回を投げてまだ与えていない。

 最多ペースで増えている今季の押し出し数も気になるところだが、田口が押し出し0をどこまで続けられるかも注目したい。(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「記録室から」)