今年のセ・リーグ、クライマックスシリーズ(CS)は雨にたたられています。

 10月21日に予定されていた広島とDeNAのCSファイナルステージ第4戦は雨で昼前からの雨で中止になりました。

 2勝2敗(広島のアドバンテージ1勝を含む)とタイになっており、どちらが先に王手をかけるか注目されていただけに残念な結果となったのです。

 阪神とDeNAのファーストステージも16日に1試合が中止になった上、降りまくる雨の中、試合をしたこともありました。広島マツダスタジアムでの今後も雨の影響がどう出るか分かりません。

 8月にこのコラムでセ・リーグの上位3球団が屋外球場を本拠地にしているという話を書きましたが、まさにその影響を受けているということでしょう。

 そんな中でも、すさまじかったのは10月15日に甲子園で行われた阪神-DeNAの2戦目でした。

 とにかくレギュラーシーズンなら間違いなく中止になる雨の中、両球団の選手が文字通り、どろどろになって戦いました。この試合で逆転勝ちしたDeNAがその勢いに乗って進出したのです。

 その中でいいなあ、と思った談話がありました。DeNA筒香嘉智外野手がその発信者でした。

 筒香はこの試合で決勝打を含む4安打2打点の働き。さらに見ている方を驚かせたシーンもありました。5回に厳しい内角球を避けたときに勢いあまって尻もちをついた。

 何しろ、田んぼのようになっている地面ですから、まさに真っ黒になったのです。その試合後に筒香が言った言葉がこれでした。

 「向こうも本気。こっちも本気。戦いなので遊びじゃない。感情を抑えすぎても、いきすぎでもダメ。そんな簡単なことじゃない」

 最近のプロ野球選手は侍ジャパン、代表チームで顔を合わせることも多く、以前より他球団に所属していても仲がいいのが一般的です。

 それがいいのか悪いのかは分かりませんが、少なくとも筒香があらゆる意味で真剣勝負を挑んでいたことが分かります。

 こちらが心を動かされていると、同じ思いを持った人がいたようです。ソフトバンク達川光男ヘッドコーチ。私の広島担当時代の監督としてお世話になりました。

 その達川コーチが16日付の日刊スポーツをナインに見せて鼓舞したというのです。紙面には、DeNA筒香が泥だらけで座り込む姿が掲載されていました。

 「気分を高めるために使った。日刊が一番写真がよかった。筒香は内角を突かれ倒れた後に、ドロドロになりながら『向こうも本気、こっちも本気』と。やっつけるしかないとね」と話し、気合を入れたそうです。

 戦力的には阪神、DeNAではシーズンの結果も見て、阪神に分があると思っていました。しかし筒香が発したような言葉の力という意味ではハッキリ言って負けていたと思います。

 阪神はもちろんですが、プロとして迫力あるプレーを見せ、コメントでもファンをうならせることは重要です。その意味で筒香は大した選手だとあらためて思ったのです。