「しんどかったです」。勝利インタビューで開口一番、そう言ったオリックス中嶋監督の表情を見て祝福する気持ちと同時に「こういうのを因縁と言うのかな」という思いがあふれてきました。

12日、パ・リーグでオリックス・バファローズ、そしてセ・リーグでヤクルト・スワローズが同時に日本シリーズ進出を決めました。それぞれCSファイナルステージでロッテ、巨人を相手にアドバンテージの1勝を含む3勝後に引き分け。まったく同じ決着です。

オリックスが日本シリーズに出場するのはイチロー氏がバリバリだった96年以来のこと。その前年「がんばろう神戸」で全国の注目を集めてパ・リーグを制した95年は知将・野村克也氏率いるヤクルトと対決、敗れています。

今回、その95年に敗れたヤクルトとの対決になったわけですが、他にも「因縁」を感じさせる要素があるのです。

関西のパ球団がもっとも最近、日本シリーズに出たのは20年前の01年です。梨田監督(現日刊スポーツ評論家)が率いた近鉄バファローズでした。そしてその01年、近鉄が日本シリーズで敗れた相手は若松監督率いるヤクルトです。

言うまでもないことですが現在のオリックス・バファローズは05年にオリックス・ブルーウェーブと近鉄バファローズが合併した球団です。

そう思えば合併する前身の関西2球団がかつて煮え湯を飲まされた相手と今回“3度目”の対戦となるわけです。

いや“4度目”かも。現在のオリックスはかつての阪急ファン、そしてブルーウェーブのファン、さらに近鉄ファンがそれぞれの思いをかけるチームでしょう。1978年(昭53)、阪急ブレーブスが苦杯をなめた相手もヤクルトでした。

オリックス対ヤクルト。それは「関西のプロ野球は阪神だけちゃうぞ」と思っているファンの熱い思いがあふれ出す戦いかもしれません。昭和、平成、そして令和でも名勝負に期待しています。

オリックス対ロッテ 9回裏オリックス無死一、二塁、小田(右)は右前適時打を放ち日本シリーズ進出を決め中嶋監督に抱きつき歓喜する(撮影・上山淳一)
オリックス対ロッテ 9回裏オリックス無死一、二塁、小田(右)は右前適時打を放ち日本シリーズ進出を決め中嶋監督に抱きつき歓喜する(撮影・上山淳一)
ヤクルト対巨人 日本シリーズ進出を決め胴上げされるヤクルト高津監督(撮影・滝沢徹郎)
ヤクルト対巨人 日本シリーズ進出を決め胴上げされるヤクルト高津監督(撮影・滝沢徹郎)