野球界最大の関心事、それは大谷翔平の去就である。エンゼルスに残るのか、それとも新天地に移るのか。結論は数日の間に出るとされている。

このビッグ交渉で、クローズアップされているのがGMの存在。ゼネラルマネジャーの力は絶大で、それは現場の監督を上回る。球団の経営、運営、チーム強化、補強と、あらゆる分野での責任者という立場。決定権をすべて握るポジションということだ。

今回の大谷争奪戦。参戦するのか、撤退するのか。大金が絡む問題の最終判断はGMが行う。これがメジャーリーグのポピュラーなシステムになっている。

日本球界では、まだまだGMの立ち位置は確立されていないが、それでもこのGM制度を取り入れている球団はある。阪神では中村勝広がその任にあったが、志半ばで急死…。GM制度を確立する前の悲報により、その後はこのシステムは取られていない。

どうして阪神GMのことに触れたかというと、先日、監督の岡田彰布の発言が気になったからだ。本年度の球界の表彰式が行われた時、あいさつに立った岡田は今季限りで退任した原辰徳前監督を慰労したあと、自身の今後に触れ「来年は監督を続けるが、その先は球界のために動いていきたい」といった趣旨の言葉を発した。

2024年度も監督を続け、球団初のセ・リーグ連覇に挑む。この気持ちは強いが、その先、3年目になる2025年シーズンはどうなるかわからない。2年契約を満了して、そこでユニホームを脱いでも不思議でない、ということを、本人が示唆したとも受け取れる。

2022年のオフ、監督復帰が決まった直後、「年齢的にも、そう長くはできない。それはよくわかっている」と語っている。契約は2年。自ら長期政権にはならない、と認めているのだが、いきなりの日本一で情勢は大きく変化した。もし連覇が成功したら、契約延長の機運は高まるだろうし、仮に連覇がならなかった場合でも、優勝争いを最後まですれば、雪辱の3年目…という声も出るだろう。

それだけに岡田の今後の去就は本人の意思次第となるのだが、一方で球団がどういう方向性を示していくか。注目点はここに集まる。すなわち球団2人目の日本一監督には監督を退いたとしても、球団に残ってほしい、となってもおかしくはない。

そこで将来的に浮かぶのがGM。監督に復帰した際、本社首脳から後継者の育成、選定の要望を受け、岡田自身、「それもオレの責務」と自覚している。だから本来の監督業に加え、後継候補に帝王学を…のミッションに着手している。そこにはGM業の色合いも含まれている。

以前、岡田に「GMには関心があるか?」と問うたことがある。その時は笑いながら、明確な返答はなかったが、身近な存在の名を挙げていた。大学時代から親交のある同期生の小川淳司のことだ。彼は監督を務めたのち、ヤクルトのGMに就任。現在もその要職にあるが、同じような経緯をたどっているだけに、決してない話ではない。

もちろん岡田があと何年、監督を務め、そののち、本社、球団がどう考えるかによるもので、その実現性は測れないが、数年後、岡田GMが誕生しても不思議でない。【内匠宏幸】(敬称略)