<イースタンリーグ:巨人7-10楽天>◇16日◇ジャイアンツ球場

日本ハム、ロッテ、ダイエーで現役生活を21年間、ソフトバンク、阪神、中日などで2軍バッテリーコーチを21年間(うち1年間は編成担当)、計42年間のプロ野球人生を送ってきた日刊スポーツ評論家の田村藤夫氏(61)が、巨人の新外国人、ジャスティン・スモーク内野手(34=ジャイアンツ)とエリック・テームズ外野手(34=ナショナルズ)の実戦デビューをチェックした。

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スイッチヒッターのスモークは、メジャー通算196本を記録している。聞くところによると、そのうち150本近くは左打席でマークしているということだった。楽天の先発は左腕塩見。この試合では右打席のみだった。

「4番一塁」スモークの第1打席は初回無死満塁。

<1>内角ストレートがボール

<2>内角ストレートを腰を引いて見送りストライク

<3>カーブがボール

<4>137キロの内角ストレートにつまるが二塁後方に落ちるポテンヒット

第2打席は2回1死一塁。

<1>カーブがボール

<2>外角ストレートをファウル

<3>内角ストレートを腰を引いて見送りストライク

<4>内角ストレートに詰まりながらも左前打

第3打席は4回2死一塁。

<1>真ん中から外寄り、沈む変化球を打ちにいくも、体が泳ぎながら引っ張り三ゴロ

内角のストレートにどう慣れるかな、と感じる。第1打席の2球目と第2打席の3球目は、いずれも内角ストレートを腰を引いて見送っている。本人はボールと感じたかもしれないが、ベース板に乗っているコースで明らかにストライク。しっかりした見極めができていないのかとも感じるが、第2打席4球目に同じコースのストレートを詰まりながらも力で左前に運んでいる。

ここで言えるのは、3球目を見逃したものの、ストライクと判定されたことで、直後の4球目をストライクと見極めて振っている可能性と、早いカウントまでは外角に目付けをしているため3球目は手を出さなかったが、追い込まれたから対応した、この2つの可能性が考えられる。

右打席しか見られなかったのは残念だが、外角が好きな印象を受けた。第2打席の2球目のファウル、第3打席の初球変化球を打っての内野ゴロは、ともに早いカウントで外角に反応している。193センチでサイズもあり、外角はスタンドに運ぶ力は十分にありそうだ。

過去のスイッチでの強打者と言えば西武のデストラーデが思い浮かぶ。彼は右投げで、打席はもともと右で左打席はつくったものだった。右打席は粗さはあるが長打力を秘めており、左打席は長打力+うまさを備えていた。追い込まれてから左中間へ広角に打つこともあり、右打席と左打席で極端に力が落ちるわけでもなく、攻めるのが難しいスイッチヒッターだった。

スモークは左投げということを考えると、もともとは左打者だったのかもしれない。この試合では右打席を見ることができたが、左打席での構え、追い込まれてからのバッティングも見たかった。内角ストレートをストライクと判定された時の様子は、判定に対する感情を態度に出すこともなく冷静な様子だった。2軍出場は調整のためであり、これが結果を求められる1軍でどうなるか。

イースタン・リーグ 巨人対楽天 2回裏巨人1死一塁、左前に安打を放つスモーク(撮影・たえ見朱実)
イースタン・リーグ 巨人対楽天 2回裏巨人1死一塁、左前に安打を放つスモーク(撮影・たえ見朱実)

「3番左翼」のテームズは打席での構えや、スイングスピードを見る限りでは、打ちそうな印象を受けた。これは捕手をしてきた勘によるもので、特別の根拠があるわけではない。

第1打席は初回無死一、二塁。

<1>カーブがボール

<2>外角ストレートがボール

<3>外角ストレートがストライク

<4>真ん中へのチェンジアップがボール

<5>ストレートがボールで四球

第2打席は2回1死。

<1>外角ストレートをファウル

<2>内角ストレートをファウル

<3>内角ストレートがボール

<4>内角カーブがボール

<5>内角ストレートをファウル

<6>低めのチェンジアップを引っ張り一、二塁間を破るヒット。

第3打席は4回1死一塁。

<1>外角ストレートがストライク

<2>内角ストレートは明らかにボールも引っ張ってファウル

<3>外角カットボールをファウル

<4>外角カットボールがボール

<5>内角低めのストレートか、抜いた球を打ってセカンドフライ

気になったのは第1打席。カウント2-1からの4球目、真ん中へのチェンジアップを見送った。バッティングカウントだったことから、外国人選手ならスイングするかな、と思っていた。スイングに行かない見送り方だったので意外だった。しっかりボールを見ようという意図だと思うが、1回もスイングしないところは、オーソドックスな外国人選手とはちょっと違う印象を受けた。

巨人対楽天 2回裏巨人1死、右前打を放つテームズ(撮影・たえ見朱実)
巨人対楽天 2回裏巨人1死、右前打を放つテームズ(撮影・たえ見朱実)

昨年のパーラはいかにも長打力があるというバッターではなかったので、今年の2人の外国人選手が、1軍に合流してどんなバッティングを見せてくれるか、とても楽しみだ。(日刊スポーツ評論家)