<イースタンリーグ:DeNA0-1巨人>◇26日◇横須賀

2軍戦を中心に取材を続ける田村藤夫氏(62)が、DeNAのルーキー、梶原昂希(こうき)外野手(22)に再び注目した。コラムの102回目で打撃の課題を指摘したが、それに発奮したのか? 梶原は今月23日のフレッシュオールスターで、4打席4安打の離れ業をやってのけた。右投げ左打ちの新人を、あらためてじっくり観察して見えてきたものとは…

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今月3日のロッテ戦で梶原を評論させてもらい、「まっすぐへの対応に課題がある」と指摘した。20日後のフレッシュオールスターで、梶原は4安打した。フレッシュで自信をつけた若い選手が、後半戦に1軍で大活躍することはよくある。梶原の打撃をあらためてじっくりみるために、横須賀に向かった。

第2打席、梶原は巨人井納から右前打を放った。インコースの難しい球(ストレート)だったが、腕をうまくたたんで一、二塁間を破った。直前に落ちる球を見せられており、落ちる球への意識も強いられるなか、まっすぐを打ち返した。内角球に対応する技術、スイングの良さは目を引いた。

しかし、だ。続く第3、4打席に新たな課題が見えてきた。3打席目は巨人桜井が相手だった。

◆1球目 外角チェンジアップを見逃しボール

◆2球目 外角ストレートをファウル

◆3球目 外角ストレートを空振り

◆4球目 外角ストレートを空振り、三振

外角のストレートに対してしっかりスイングできていない。空振りしたあとに体が1回転するほどで、同じ球を続けられてもあっさり三振した。

当てにいっているわけでも走り打ちしているわけでもない。それでも、力強さに欠けるスイングになっている。打者としてのタイプは全く違うものの、かつてイチローがヤクルトとの日本シリーズで外角高めを攻められ、空振りして1回転したときのことを思い起こした。

踏み込めていないというか、自分のポイントまで呼び込めていないというか。利き手が右手なので左手の押し込みが弱い、といったことも考えられる。第3打席をみて、巨人バッテリーも外角に難ありとみてとったのだろう。梶原は第4打席も外角を攻められ、左飛に打ち取られた。

1軍は相手の弱点を徹底的に突いてくる。前回に取り上げた万波(日本ハム)の時でも指摘したが、同じパターンで仕留められるバッターほど、捕手にとって楽な相手はいない。スイングの速さや、内角球に対応する高い技術を持っているのだから、今回見えてきた課題に向き合ってほしい。

最後に守備でも注文を。この日は右翼を守っていた。右翼手の大事な仕事の1つに、一塁バックアップがある。三塁や遊撃方向に内野ゴロが飛んだ場合、悪送球への備えとして一塁ベースの後方に走っていかないといけない。梶原もバックアップには向かうものの、1歩目の出足や走るスピードに甘さを感じた。これは意識の問題。1軍に呼ばれる事を考えたら、すぐに改善した方がいいだろう。活躍を期待するルーキーだからこそ、厳しめに言わせてもらった。(日刊スポーツ評論家)