<ファーム・東地区・日本ハム7-1ハヤテ>◇5日◇鎌ケ谷

日本ハムのドラフト5位・藤森海斗捕手(18=明徳義塾)のディフェンスに長所と、修正点を見た。投球を後ろにそらさない、もっとも基本的な部分で、藤森の良さは、今後への大きな成長につながる予感を抱かせた。

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藤森が打てるようになるか、それは分からない。しかし、あの瞬間、藤森にはディフェンス面に関していえば、かなり精度の高いブロッキングをものにする可能性を感じた。

先発右腕の孫易磊の150キロ低め真っすぐだった。投球はワンバウンドになった。それを藤森はしっかり止めた。左打者のやや外寄りストレートを、とっさに両膝を地面につけ、さらにミットを下げて、ほぼ満点のブロッキングでしっかり止めていた。

驚きをもって、その動きを目で追った。何よりも良かったのは、反応が速かったこと。そして一連の動きが確実だった。この日、孫は75球投げているが、ストレートのワンバウンドは1球だけ。それをしっかり止めたことが良かった。

少し丁寧に説明すると、ワンバウンドの処理で捕手に求められるのは、後ろにそらさないこと。ダイレクトで捕球することだけが求められる役割ではない。打者には低めを見極める選球眼が求められるのと同時に、バッテリーに低めに丁寧にボールを集められると、低めに意識が集まるあまり、どうしても追ってしまう習性もある。

だから、投手はギリギリを攻める。従って、低めを意識するがゆえにワンバウンドになる。それをそらしていては、投手は思いきって投げられない。捕手が止められないなら、投手は走者を進めたくないとの心理が働き、丁寧さを欠き、リリースポイントが雑になり、投球が甘めに浮いて痛打される。

ワンバウンドを止める、ということはそのブロッキングで投手を助けることでもあり「大丈夫、必ず止めるから思い切って来い」という証しにもなる。それが投手心理にもたらすプラス効果は、ものすごく大きい。だから、ブロッキングが確実な捕手は、投手を助け、バッテリー間に安心をもたらし、つまりチームを助けている、ということになる。

そして、中でも捕手泣かせのワンバウンドがある。これが実はストレートのワンバウンドであることは、あまり知られてはいないのではないか。

まず、ワンバウンドで野球ファンの皆さんが連想するのは、やや古くなるが、野茂のフォークのように、落ちるボールだろう。これはファンの皆さんもよく映像で見たことがあるのではないか。

捕手が両膝をついて胸のプロテクター部分をまさに壁のようにして、鋭く落ちるフォークを前に弾く。右や左にそれるが、捕手の視野に入る範囲ならば、素早く拾えばしっかり状況をコントロールできる。走者の進塁を防げる。

もう一つ、打者の外角へ逃げるように変化する低めスライダーも同様にワンバウンドする可能性が高い。これは、フットワークを使い、体ごと右や左に動かして体に当てるため、俊敏さが求められる。手だけで取りに行けば、後ろにそらす可能性がぐんと上がってしまう。

捕手としては、下半身に負担がかかる動きになるが、そこで鈍い動きをしているようでは、逆に投手のピッチングに制約をかけてしまう。

以上、代表的な2種類の変化球に対するブロッキングをかいつまんで説明させていただいたが、ストレートのワンバウンドはこうした変化球とは根本的に違う。

まず、捕手が予測できない。これが一番大きな違いだろう。フォークやスライダーは、ある程度、ワンバウンドに備えることができる。だが、ストレートはそうはいかない。

いかにギリギリの低めを狙ったストレートでも、多くの場合はダイレクトでミットに入る。捕手もそうした軌道を想像する。だが、意に反してそのままベース付近でワンバウンドすると、球速がある分だけ反応が追いつかない。急いで膝をついて前に弾こうにも、体の動きが遅れることが多い。捕手にとって、ストレートのワンバウンドは鬼門と言っていいだろう。

最悪は、ワンバウンドが跳ねず、捕手の股間を抜ける。これは非常に良くない。はたから見ると「どうして…ストレートなのに」となるし、投手からしても「そこは止めてくれよ」となってしまう。ただ、捕手からすると予測の難しさと、反応時間の短さから、止めるのは困難な部類に入る。

藤森は、75球のうち1球のストレートのワンバウンドをしっかり止めたことが非常に良かった。予測できない中で、瞬時に対応していた。それも、ミットだけで取りにいかず、両膝を使って対処していたことが光った。反応の良さも際だったが、もしかすると目がいいのかもしれない。

たまたま、偶然止めたという動きではなかった。これが、変化球でもしっかり下半身を使って安定して高確率でワンバウンドを止めるなら、守備においてはひとつの武器になるだろう。チャンスがあるなら、1軍クラスの投手のボールもブルペンなどでたくさん受けて、常に投手に安心感を持ってもらえる捕手に成長してほしい。

そして、キャッチングに関して指摘がある。

藤森は私が確認した中では、ストライクと判定されるべき場面で、キャッチング部分が原因と思われる動きで2度、ボールと判定されている。

1度目は低めの真っすぐ、2度目は高めのスライダーだった。いずれもしっかり止めて、球審に見せていればストライクと判定されてもおかしくなかった。

言葉で表現すれば、ポンと受けて、すぐに投手に返球する、そんな動作だった。受けてすぐに返球動作に入る。リズムを大切にする意図があるのだろうが、そこは受けて1秒から2秒ほどミットを動かさず球審に見せても、リズムは崩れないだろう。

中でも、追い込んでいたため、捕球後の藤森はストライクを確信したのだろう。コールを待たずに、見逃し三振時の動作として、そのままサードへ投げようとしていた。もったいない。ほんの一瞬、間を取ることで、球審にすんなりとストライクをコールしてもらえると考えれば、この部分はすぐにでも修正できるだろう。

イニングが終わると、投手に駆け寄って声をかけ、あるいはグータッチでコミュニケーションを取っていた。そこもとてもいい。どんどん課題も見つかるだろうが、いいところはそのまま継続して確実に自分の物にしつつ、修正点が出てきたら成長するチャンスととらえ、自覚しながら克服していけばいい。そのプロセスも、藤森にとっては貴重な「進化への道程」になる。

相手投手の代木は明徳義塾の先輩。2三振と打たせてもらえなかった。外へ逃げる変化球への対応はまだこれからの課題。バッティングは打席に立ち、打ち取られながら少しずつ学んでいくしかない。一足飛びに打てるようにはならない。捕手の基礎を固めながら、どんどん挑戦してほしい。

1番捕手・藤森。先頭打者に捕手なんて、珍しいなと思って見ていたが、たくさんの視点を与えてくれた。また、今年もファームに足を運ぶのが楽しみになってきた。(日刊スポーツ評論家)