勝った負けたで一喜一憂するのは我々のよくないところだ。野球は1点差でも10点差でも負けは負け。同じことだ。だが正直、この試合はひどかった。なにしろ重い。印象がよくない。やることなすこと、うまくいかない感じだ。

まず主砲が打てない。前日、3安打のマルテは3四球を選んだがボーアが沈黙。満塁機で2度、凡退したのが象徴的だ。さらに押し出し四球が2つというのも苦しい。先発・岩貞祐太とリリーフの谷川昌希では戦況を含めて条件が違っているが、それにしても1試合で2つの押し出しが出るようでは勝てない。

なにより岩貞は踏ん張っていただけに悔しい。内容は巨人田口麗斗よりもよかったと思う。自身で内野安打も放ったし「なんとかしよう」という気持ちが伝わってきた。野手もベンチもこういうときに先発投手を勝たせてやれるかどうかで大きく変わってくる。

試合前から違和感が漂った。スタメンを見て「おや?」と思った。5番打者以降が前日の開幕戦と大きく変わっている。阪神に限らず、最近では相手投手の左右、相性などでスタメンが変わるのは普通のことだ。それにしても1点差の接戦だった前日からここまで変わるのかと思った。

スタートダッシュが今季の必須事項なのは誰もが口にすることだ。スタメンを変えるのはいいが、いろんな選手を使いながら様子を見ようと思っているのであればそれはどうだろう。

たった2試合とはいえ、昨年のリーグ覇者・巨人を相手に喫した連敗は相当、痛い。21日の試合に勝てる要素がまったく感じられない。いきなりの3連敗発進も覚悟しなければならない気分に虎党は陥っているのではないか。

ヘッドコーチ・清水雅治とは昨年中からよく話をした。起用する選手の選び方について話すことが多かった。「もちろん調子のいい選手、状態のいい選手から使います。そうしないとチーム全体がおかしくなってしまいますから」。清水は原点に忠実に戦うことをいつも強調した。

何度も言うがまだ2試合。野手の好不調を言う状況にはないかもしれないが、清水の言う基本は常に大事だ。2試合で無安打のボーアだが1本出ればガラリと変わるとは思う。問題はそれがいつなのか。ベンチはどこまで我慢できるのか、だ。阪神はいきなり追い込まれた。(敬称略)