球界を代表する? 虎党にキッチリやられた3連敗だったと思う。巨人の4番サード・岡本和真のことである。この日は無安打だったが守備で見せた。

1点を追う阪神、7回は1死一、三塁となんとか反撃機をつくった。ここで梅野隆太郎の打球は三塁線を襲う痛烈な当たり。一瞬、抜けたかと思ったが岡本が間一髪で止めた。併殺こそ取れなかったが三塁走者サンズも身動きが取れない。結局、無得点に終わった。

岡本は1戦目に好投の高橋遥人から決勝本塁打。前日の2戦目は中押しのソロ弾を含む3安打2打点と2試合はバットで貢献した。そしてこの日は守備で…とまさにプロ野球の華「4番三塁」の面目躍如だ。

コロナ禍の関係で今季は阪神、他球団を問わず、選手に取材というかフリーに会話することは許されていない。だから岡本との“いつもの会話”はできていない。虎党を自認する岡本との“阪神話”だ。

「(阪神戦で好調なのは)そらあ、やっぱり自然と気持ちが高ぶってくるからじゃないですかね。阪神戦は気合入れていきます」

「一番よくテレビで見ていたのは浜中さん、藤本(敦士)さんの頃ですね」

「能見さんはホンマに人間なんスかね? 子どものとき、テレビで見ていたときと体形とかまったく変わってないんですもん」

すべて昨季まで岡本から聞いた話だ。奈良出身、地元の名門・智弁学園から巨人に入り、いまや主砲だ。そんな岡本は幼いころからのタテジマへのあこがれを戦意に変えている。

3戦連続0封負け。「伝統の一戦」と言うのが恥ずかしい結果だ。しかし勝敗は「時の運」である。それより「巨人か。やったるで!」と気合を感じさせる選手の少ないことが寂しい。阪神戦に燃える岡本のような男は出てこないのか。

気になったのは大山悠輔だ。この日は4番から降格し今季初めて6番でのスタメンで2安打を放った。不調だから仕方がないのかもしれないが降格に応じた小さい打撃に見えた。

ここまで来れば三振でも凡打でも4番でドーンといったらんかいと思ったりもするのだが、やはり勝ちたい、得点したいベンチの気持ちの表れか。指揮官・矢野燿大に元気がないのも心配だ。シーズンはまだ半分も終わっていない。屈辱を乗り越え、前を向いて戦うしかない。巨人に甲子園でやり返すしかないのだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)