雨天中止の方がよかったのでは。そんなことまで頭をよぎった。5日巨人戦は虎党にすれば元気をなくす試合になった。冷静に見ているつもりだが、正直、気が遠くなりそうだった。

勝てば一気に盛り上がると期待がかかった藤浪晋太郎だったが課題の制球難が顔を見せ、ムダな四球を連発。自分で自分を追い込んだ印象だ。援護するべき打線も終盤、大山悠輔が1発を放ったものの中盤まで巨人今村信貴の前に抑え込まれた。ほとんど「ええとこなし」で終わった。

藤浪の起用法、続投については野球ファンの間で話題になるかもしれない。2回の2失点はともかく3回は明らかに自分を見失っていた。先発スタッフに入っている投手としても降板させてもおかしくなかった。しかし続投。3回にも代打を送らず、結局、11失点という結果になった。

「ゲーム差とか先のことを考えるとどうしても苦しくなるんですけど、ぼくらは1戦1戦、目の前の試合をどう戦うか。明日からも1戦1戦を全員で戦っていきたいと思います」

これは前日、接戦をものにした後、指揮官・矢野燿大が発していた言葉だ。それを正面から受けとれば、なんだか序盤の失点で試合を捨ててしまったような印象も受ける。

しかし13連戦中だ。大勢が決まった試合で貴重な中継ぎ投手をつぎ込むことはできないと考えてもおかしくない。矢野でなくとも、この辺りは常に難しいところだ。

この4連戦前、考えていたのはこういうことだ。何が何でも4連勝を目指して“明日なき戦い”をするのか。いわゆる短期決戦スタイルだ。それともシーズン中の戦い方として試合の行方が見えた時点である程度、見切るのか。

そんなばかなと言われても、正直、前者を目指してもらいたかった気持ちはある。冷静に見て、巨人優勝はかなりの確率だ。だからこそ、ここで4連勝すれば、その後がどんな展開になっても「あの9月は意地を見せよった」と言うことになるかもしれない。

しかし、矢野はそんなプランは取らなかった。それも当然ではある。大事なのは、あくまでシーズンが終わってどうだったか。途中で“大見え”を切っても仕方はない。終わってみてどうなっているか、だ。残り2試合を取れば、この日の意味もほんの微かに出てくるのではないか。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)