日刊スポーツ評論家の緒方孝市とともにヤクルトがキャンプを張る浦添を訪ねた。現在は元監督の古田敦也は臨時コーチを務めており、注目されている。

ヤクルトの小川淳司GM
ヤクルトの小川淳司GM

そんな中、我々を歓待してくれたのがゼネラルマネジャー(GM)の小川淳司だ。ヤクルトで2度にわたって監督を務めた小川。外野手だった中大時代は日米大学野球のメンバーに選出され、原辰徳(巨人監督)岡田彰布(野球解説者)とクリーンアップを組んでいる。監督時代の阪神戦前に話を聞こうとすると、なぜか必ずそのエピソードを出してきて笑った。

おかしな書き方かもしれないが球界で小川ほど紳士的な人物を知らない。年下に対しても敬語を使うし、物腰も本当に柔らかい。大企業の重役や政治家も見習った方がいいのではというイメージだ。

その小川が名前を挙げたのは阪神のドラフト1位・佐藤輝明だった。「佐藤くん。いいですね。なんというか大物の雰囲気を持っていますよね」。誰もがそう思っているのだが、小川の静かな口調で言われると真に迫ってくる。

ヤクルトといえば村上宗隆だろう。山田哲人ももちろん大スターだが、村上は高卒4年目21歳にして、あの長打力とあの存在感。セ・リーグでこういう男が出てくるのはすごい。

ヤクルト村上宗隆(中央)(2021年2月2日撮影)
ヤクルト村上宗隆(中央)(2021年2月2日撮影)

その村上について小川は笑いながら話した。「あのコは入ってきたときから物おじしないというか、周りを気にしないというか。昔の野球界ならどうだっただろうか、と思ったりしますね」。小川の言う意味は分かる。上下関係が厳しかったかつてなら先輩から締め上げられていたタイプということだろう。

そこで佐藤輝のことを思い出した。これまでの報道を見る限り、彼は結構、大きなことを口にするタイプに見える。これは最近の選手、特に阪神ではめずらしいことだと思う。なにしろメディア攻勢が激しい阪神。最初は面白いコメントをしていても、反響が大きいため、いつの間にか「チームのため頑張ります」などと無難なことしか言わなくなる傾向が強い。

打撃練習を行う佐藤輝明(撮影・加藤哉)
打撃練習を行う佐藤輝明(撮影・加藤哉)

だが、それでは面白くない。周囲を圧倒するような成績を残して、ビッグマウスもぶち上げる。メディアもそれを大きく取り上げる。プロのスター選手はそうあってほしいもの。不言実行ではなく、有言実行。そんな姿を見せられる存在に大きく成長してほしい。(敬称略)

【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)