ルーキー佐藤輝明に特大弾も出たし、打線も2桁安打だし、先発・青柳晃洋もまずまずだったし。反撃はあっても逆転されるムードはなく、阪神の快勝と言っていい試合だろう。

特に巨人時代、苦手にしていた左腕・田口麗斗をいきなり攻略できたのは大きかった。この攻撃で「いいな」と思ったのが3番マルテだ。初回無死一、二塁から四球を選び、満塁の好機をつくった。そして次打者の4番・大山悠輔が大きな右飛を放ったときのことだ。

三塁走者の近本光司は先制の生還。二塁走者・糸原健斗も三塁へ進んだ。驚いたのが一塁走者のマルテまで二塁へ走ったことだ。

確かにヤクルトの右翼を守っていた坂口智隆は太陽が目に入ったのか風の影響か、ベテランらしからぬ危なっかしい捕球ではあった。それにしても俊足でもない外国人選手がこれで二塁へ行くとは…。

かつてのマートンのことを思い出した。15年まで6シーズンも阪神に在籍し、ヒットマンぶりを発揮した優良助っ人。虎党に説明はいらないだろう。そのマートンは一時期、二塁から三塁へのタッチアップをしないプレーが目立った。それについて話を聞いたことがあった。

「外野フライで二塁から三塁に走るというプレーは米国では一般的ではないね。無死のときならあるかもしれないが1死からは走らない。2死二塁と2死三塁では変わらないだろう」

マートンは淡々とそう説明したものだ。大リーグでは本当にそうなのかは残念ながら知らないが、もちろん日本では違う。三塁に進めばバッテリーミスなどで得点できるケースもあるからだ。その後、首脳陣から説明されたマートン。元々ナイスガイで日本流に合わせるメンタルも持っていたので同様のケースで三塁に走るようになった。

この日のマルテは二塁に進んだ後、サンズの中飛でさらに三塁まで進むなど、安打はなかったもののよく走った。佐藤輝、江越大賀が盗塁を決めたように本塁打が増えても阪神にとって機動力は変わらない武器だ。助っ人でもそれを懸命に実践しているのが現在のチームの雰囲気だろう。

さあ、大事な3戦目である。ヤクルトは球界が期待する2年目・奥川恭伸が先発する。ここは「初物に弱い」などと言っている場合ではなく、しっかり攻略しての3連勝スタートといきたいところだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)