これは困った。キツい。負けすぎである。4年目、覚悟のシーズンに臨んだ指揮官・矢野燿大への虎党の風当たりは強い。それも無理はないというか、勝敗の“結果責任”は監督にあるので「矢野が悪い」というのは当たり前だろう。

それでも走者を置いた場面でクリーンアップが全員沈黙してしまえば、直接的に監督がやれることは何もない。お手上げだ。「選手起用がなってない」。そう言いたくもなるが個々の虎党が応援する選手が出場したときに必ず期待通りに働くかと言えば、残念ながら、そんなことはないし、これも実は難しい。

そこにきてコロナ禍がまたしても直撃した。まずまず好調な伊藤将司や28歳初登板の藤浪晋太郎が先発登板できなくなった。泣きっ面にハチというか、もっと言えば「どん底」なのだ。どん底。

こちらからしても歴史的負けっぷりなので経験がない。こういうとき、あの人ならどうしただろうと想像してしまう。闘将・星野仙一なら。そう思いながら手元にある「星野流」(世界文化社)をめくる。そこに書いてあった。

「ドン底は単純でも基本に戻るのが一番」

闘将はそう書き残している。「単純だが、基本に戻ろう、野球の原点に返ろうという意図でやることだ」。そのためにはランニングをしっかり、ノックはする方も受ける方も基本に忠実に捕る、投げろと強調。それ以外にも細かく指摘する。

「毎回、守備位置とベンチの間を走って往復しているか。グラウンドでもベンチでもどこかちんたらしているところはないか。ユニホームを着ているときの基本的な態度の点検も大事なことだ」

そんなことを考えて試合を見ていたが、例えば体を張ってワンバウンドの投球を止めていた梅野隆太郎の姿はよかったと思う。あれが捕手の基本だろう。最後はサヨナラ負けしたがやるべきことはやっていた。

とにかく打つ、投げる、守るの基本をしっかりやって戦ってほしい。この負けっぷり。指揮を執っている矢野には責任がある。戦力補強の面でフロントにも問題はあったはず。だけど同時に選手も、もっと意地を見せてくれと思う。

同じプロ、しかも昨シーズン、12球団最多の勝利を上げた人気チームが、この惨状のままでは恥ずかしいではないか。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

中日対阪神 4回裏、ベンチでさえない表情を見せる矢野監督(中央)(撮影・森本幸一)
中日対阪神 4回裏、ベンチでさえない表情を見せる矢野監督(中央)(撮影・森本幸一)