6回裏途中で40分間の中断。そこから再開し、わずか1分で再び中断ときた。そして雨天コールド。バタバタした流れでの広島戦3連勝だ。“おいしかった”のはそのわずか1分間に80打点目をマークした大山悠輔か。それも現在の好調さがあってこそ。いずれにしても屋外球場・甲子園ならでは出来事だ。
この勝利で今季、甲子園での戦績は32勝17敗1分け。13試合を残して勝ち越しが決まった。甲子園で勝ち越すのは4年連続。つまり指揮官・矢野燿大のシーズンすべてで勝ち越しに成功したことになる。
「甲子園での勝利」と言えばどうしても思い出す。以前にも書いたと思うが闘将・星野仙一から聞いたファンとのエピソードだ。
02年に阪神監督になった星野が、なじみの喫茶店にいると近くの席にいた中高年の女性がこう話しかけてきたという。
「星野さん。私らにもっと『六甲おろし』を歌わせてや!」
中日時代から甲子園でファンが「六甲おろし」を歌うのは知っていた星野。「何言うてるんや。あんたら、いつも歌ってるやないか」と気安く返した。すると女性は「星野さん、何言うてんの。あれは阪神が勝ったときにしか歌われへんねんで!」。懸命にそう説明してきたそうだ。
阪神の勝利後に球場側が流し、合唱するという甲子園のシステムを知らなかった星野は「そうだったのか」と納得。同時に「勝利が重要なのは当たり前だが特に甲子園で勝つのは大事。それでファンに喜んでもらえる」と強く思ったという。悲願のリーグ優勝を果たした03年、甲子園で圧倒的に強かったのは有名だ。
その星野の教え子でもある矢野。選手起用、采配などで批判も少なくないけれど「甲子園で勝とう」という星野の考えは守ったといえる。今は合唱こそできないが、残りの13試合でもなるべく多くの「六甲おろし」を聞きたいのは虎党の気持ちだろう。
天候の助けもあって? 苦手だった広島に3連勝。これで同一カード3連勝は今季7度目だ。だが同一カード3連敗は今季8度も喫している。連勝連敗の目立った今季だが、ここはもう1つ3連勝すれば、ここでも5割、タイになる。
時が流れるのは早く、3連戦は次の巨人戦が今季ラスト。そして「巨人を倒せ」も星野の合言葉だった。ここも3連勝がほしい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




