日本シリーズが面白い。ここまで5試合で阪神が3勝2敗と王手をかけている。虎党は4日の第6戦で一気に決めたいところだろうが野球好きとすれば、ここまでくれば最後まで行ってほしい気もしたり?
熱戦続きのシリーズだがそれにしても両軍に目立つのが失策である。「短期決戦はミスが命取り。ミスした方が負ける」。これは指揮官として広島を3連覇に導いた緒方孝市(日刊スポーツ評論家)から聞いた言葉だが、まさにこの世界の常識でもあろう。
ところが、だ。ここまで5試合で阪神の失策は「8」。3日付の日刊スポーツにも失策の記録に関する記事が出ていたが、シリーズ5試合での8失策はワースト・タイという。さらにオリックスも同様に6個を記録している。
日本シリーズはプロ野球の頂上決戦、つまり日本最高峰の試合だ。さらに言えば開幕前のWBCで日本代表は優勝しているので、いわば「世界一の野球リーグ」の頂点を決めるシリーズでもある。そこで、これだけ失策が出てしまうのはなかなか複雑な気分だ。
「ミスした方が負ける」といっても、これだけ両方に出てしまえば、もはや、あまり関係ないような状況にまで陥っている感じとも思える。59年ぶりの関西シリーズ。関西と言えばお笑いだがこれを笑っていいのかどうかは難しい。失策の多さについて第4戦に勝った後、指揮官・岡田彰布に問うてみた。
「おお。それなあ。せやけど、おまえ、なかなかしゃあないぞ。こんな雰囲気でやってたら-」
当たり前だが油断ではなく、あふれる緊張感で固まってしまうのが、その理由ではないかと岡田は考えているようだ。確かに現場でずっと試合を見ていれば、そのセリフも実感できるムードの中での戦いだ。
今更言うまでもないが阪神の今季失策数は「85」でセ・リーグのワーストだ。シーズン中、岡田は失策に関して「そら出るよ」と語るなど失策そのものには比較的、寛容に感じる。実際それだけの失策を重ねても優勝したのも事実だ。
さあ、あと1試合、あるいは2試合か。さすがに失策数のシリーズ記録までつくってしまうのはどうかとは思うが、玄人が好む締まった試合より、誰もがドキドキする波瀾(はらん)万丈の戦いが面白いという見方もあるかも。いずれにせよ、阪神、あと1勝だ。(敬称略)
【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




