こんなことを書くのもおかしい気もするが、甲子園に詰めかける虎党に少しお願いしたいことがある。桐敷拓馬が登板するとき、登場曲「J.BOY」のサビ部分を大きく歌ってあげてほしいな、ということだ。

先日、米国出張に出かけた東京本社の記者・久保賢吾が書いた記事を読んで少々びっくりした。米スタンフォード大に留学している佐々木麟太郎についてのものだ。将来、日米いずれかの球界で活躍すると思われる麟太郎が打席に登場すると球場に流れる曲は「J.BOY」だという。

同局は約40年前、シンガー・ソングライターの浜田省吾が発表したもの。浜田、略称ハマショー、若い人は分からないが、中高年なら知らぬものはいない存在だ。しかし若い佐々木がそんな曲を使っているのか。

「そうですね。ジェイボーイ~! って、米国の観客はみんな歌っていますよ」。久保はそう答えた。佐々木の父親、佐々木洋は言うまでもなく花巻東の監督だ。メジャーにいる菊池雄星、そして大谷翔平らを育成した人物で現在、49歳。そこが関係しているのか。

桐敷については間違いなく両親の影響だ。父親の運転するクルマで聞かされて、好きになった。親が好きな歌をプロ野球で投げる自分が使う。古い感覚なのかもしれないが、すてきな話だと思っている。その桐敷に先日、佐々木が同じ曲を使っているという話をしてみた。

「そうなんですか? 本当に? 若い人が『J.BOY』を使っているのはとってもうれしいですね」。今月20日で26歳になる桐敷も十分若いのだが、そう話して“同好の士”の存在を喜んでいたのである。

そして桐敷はこの日、0-0の延長10回に登板。四球と安打で2走者を出したが失点はせず、1イニングをきっちり抑えた。その裏に満塁男・木浪聖也のサヨナラ安打。桐敷は今季1勝目をマークしたのだ。

5月22日に「左上肢の筋疲労」のため出場選手登録を抹消されたが、最短10日間で今月1日に復帰。4日の日本ハム戦(エスコン)で復帰後初登板を果たしていた。甲子園は復帰して初めて。そこで初勝利だ。

阪神を支えるブルペン陣、その重要メンバーの左腕である。ここは虎党も歌でさらに応援してあげてほしい-。同じブルペン陣である石井大智の負傷が軽いことを祈りながら、そう思っていた。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対オリックス 10回裏、サヨナラ勝ちに歓喜する、左から村上、桐敷ら(撮影・宮崎幸一)
阪神対オリックス 10回裏、サヨナラ勝ちに歓喜する、左から村上、桐敷ら(撮影・宮崎幸一)
阪神対オリックス 10回表オリックス攻撃終了、阪神桐敷は無失点で終えて手をたたく(撮影・宮崎幸一)
阪神対オリックス 10回表オリックス攻撃終了、阪神桐敷は無失点で終えて手をたたく(撮影・宮崎幸一)