開幕から2カード連続で勝ち越しを決めたDeNA戦のハイライトは8回の守りだったと思う。1点をかえされ、リードは最少1点となった。なおも1死一、三塁。迎える打者はこわい佐野恵太だ。ここで及川雅貴だが力を振り絞り、真っすぐで二ゴロ併殺に切る。その瞬間、割れるような声援が巻き起こった。虎党が勝利を確信した瞬間だったかもしれない。

開幕2カードを終え、阪神は4勝2敗に。その成績同様、誇れるのは12球団で唯一「失策0」という事実だ。一昨年までは守備が課題とされたチームだが昨年から引き締まっている状況を続けている。8回、中野拓夢から木浪聖也、大山悠輔と渡った併殺シーンはそれを象徴する気もした。

声高には言わないが指揮官・藤川球児も元監督の矢野燿大がそうだったようにマルチポジションを推奨している。春季キャンプからは多くの選手がいろいろな守備位置を練習してきた。

9回、蝦名達夫の三ゴロにランニングスローを見せた佐藤輝明の送球は一塁ベンチ側にそれたが、代走から大山に代わっていた熊谷敬宥がしっかり処理。キャンプでの熊谷の一塁練習も思い出したのだ。

それぞれが任されたところをどこでも守れるように真摯(しんし)に向き合ってきた。もちろん、まだ始まったばかりだがここまではそれがうまく出ている様子。ここまで0失策というのはいい傾向だと思う。

そして開幕6試合目にして阪神は「1点差勝利」をモノにした形だ。「1点差試合は監督の責任」-。広島3連覇監督の緒方孝市(日刊スポーツ評論家)はそう言う。主に負けたときに強調するのだが、それだけ1点差試合を取ることは重要ということだ。その意味でこの試合を勝ちきったのは今後につながると思う。

チームが締まっているのはそれだけハイテンションということでもある。「その分、選手たちの疲労もたまっていますから。コントロールしながら。うまくコントロールして、やっていかなければと、全体として感じます」。球児はそう話し、緊張感を保っているからこそ、選手のコンディションに注意する心中を表現した。

3日からはマツダスタジアムに乗り込み、広島戦。春の天候が変わりやすい中、今季初の屋外球場での戦いとなる。攻守とも好調をキープし、甲子園開幕となるか。大事な3連戦だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)