「才木(浩人)は球が速いからね。才木も阪神ファンもびっくりしたんじゃないの?」。こんな話をしたのは「世界の本塁打王」の異名を持つソフトバンク球団会長・王貞治だ。まさにその通りとしか言いようがない試合だった。

先発・才木が好調の栗原陵矢に2打席連続本塁打を浴び、野村勇にも被弾。さらに2番手・椎葉剛も2発を許し、実に1回から5回まで連続被弾ときた。これはプロ野球タイ記録とか。なかなか不名誉な話ではあるが、さすがにここまで来ると驚きの方が増す。

才木にすれば2日連続で試合が流れてのスライド登板だけに難しさはあったと思う。もちろん本人は「別に日がずれただけなので難しいとかはない。スライドというのはただの言い訳」と潔かったが、とにかく大変な結果になった。

阪神が1試合に6本塁打を打たれるのは10年8月1日の中日戦(甲子園)以来16年ぶり。その試合は先発・下柳剛が森野将彦に3被弾するなどの結果だったが、この日と違ったのは阪神が勝っていることだ。

そのゲーム、最後を締めたのは現在の指揮官・藤川球児である。8-5と3点リードしていた8回表に久保田智之が2発を浴び、1点差に迫られたところで登板。「回またぎ」で試合を締めている。

「(才木の)状態どうこうはないと思います。それは選手の本質じゃなくなるというか。そうではなくてカウントを取らなきゃいけないところ、勝負行かなきゃいけないところで、どうアウトが取れるか。それがプロである理由だから」

この日、球児は監督としてそんな話をした。序盤、カウントを整えにいったところで打たれた才木への奮起を促す意味合いもあったのだろう。調子どうこうでなく、決めるところはしっかり決める。自身の経験に基づいた話だと思う。

好投手・大津亮介から立石正広、森下翔太の1発などで3点を奪った阪神打線である。限られた選手だけだったが打線はなんとか仕事をした。それだけに序盤からの才木の打たれっぷりは、もったいなかったかもしれない。

そうは言ってもプロは試合が続く。冒頭の「世界の王」に戻ればレジェンドも「明日は切り替えて」と言ったそう。こんな試合ばかりではないと自軍を戒めたと思うが阪神も同じだ。ここは切り替え、新たな試合に臨みたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

ソフトバンク対阪神 3回5失点で降板する才木浩人(撮影・上田博志)
ソフトバンク対阪神 3回5失点で降板する才木浩人(撮影・上田博志)