全国のレベルを知り、技術向上と交友を――。

福岡県高校野球連盟が県外の強豪校を招いて交流試合を行う「福岡県高校野球連盟 招待試合」が開幕する。初日の12日は、今春センバツ4強の東海大相模(神奈川)が登場。九州大会優勝校・九国大付と“オープニングゲーム”を行う。来週19日は、昨夏の全国準優勝、国体優勝の広陵(広島)を迎え、センバツ出場校の東筑などが対戦する。春の公式戦を終え、夏に向けての戦力アップを図る時期。県勢8校が自チームの実力をためし、県を越えた交友と、技術の向上を目指す。主催の県高野連は「たくさんの人に足を運んでもらい、ファン、地域の野球少年たちにも強豪校のプレーを生で見てほしい。温かい応援をしてもらいたい」と呼びかけている。


 九国大付―東海大相模と言えば、2011年センバツ決勝カードを思い出す。当時、若生正廣監督が指揮をとり、創部初の優勝を狙った。試合は1-6で九国大付が敗戦したが、福岡出身の三好匠(楽天)-高城俊人(横浜DeNA)バッテリーの活躍は、今も県高校野球ファンの記憶に色濃く残っている。

当時の「アグレッシブ野球」を継続している門馬敬治監督(48)は今回の招待試合について「ウチは弱いので、福岡での2日間で(19日からの)関東大会につながるいい経験をしたい。選手たちの奮起に期待したい」と話している。最速142キロの直球を持つエース斎藤礼二(3年)や、高校通算46本塁打の森下翔太(3年)など全国トップクラスの選手を擁する東海大相模。夏の全国制覇を狙う常勝軍団から、勝利への執念を学びたいところだ。


■中学時代の“宿敵”との再会を楽しみにする選手も


東海大相模との試合に闘志を燃やす(左から)九国大付の中川壱生内野手と、下村海翔投手
東海大相模との試合に闘志を燃やす(左から)九国大付の中川壱生内野手と、下村海翔投手

 東海大相模との対戦を心待ちにしている選手がいる。九国大付の遊撃手、中川壱生(2年)だ。中学時代に福岡ボーイズの主力選手として活躍。中3の夏、ジャイアンツカップ(全国大会)に出場し決勝進出を修めている。

この時の対戦相手、湘南ボーイズ(神奈川)の本間巧真、小関一輝、徳田辰吉が東海大相模に進学。かつてのライバルがセンバツ出場し刺激を受けていた。「甲子園関連の雑誌で、3人の名前を見つけて自分も負けていられないと思った」と中川。いつか全国でもう一度対戦したい。そう心に秘めていたのだ。

「招待試合で相模と試合ができると聞いた時『もしかしたら会えるかも』と楽しみにしていました。中学野球を引退したときに何人かと連絡を取ったりして、気になる存在でした。相模は強いので何とかくらいついて、僅差で勝ち切りたい」と話す。そして「僕らと違って、いろいろな大会に出て経験をしている選手たちなので、見て学んで、いいところを真似したい」と続けた。

相模戦で先発が予想される、エースの下村海翔(2年)は最速144キロの本格派右腕。宝塚ボーイズ時代に、ジャイアンツカップに出場している。「直接知っている選手はいないけど、相模の試合をテレビで見ていて、森下さんの打撃が凄いと思い、名前を覚えました。試合では攻める気持ちを忘れずに、九州大会の時のように強気に投げていきたい」と表情を引き締めた。こういった「再会」「再戦」をモチベーションにして、日々の練習を頑張っている選手は多い。


 かつては、大阪桐蔭や日大三、桐光学園なども参加した招待試合。県高野連の野口敦弘理事長は「2011年の時は、のちに夏の全国優勝を果たす日大三が北九州市民球場に来てくれました。8番の鈴木君(貴弘)の打球がレフト最上段に入った時は『これで8番打者なのか!』と度肝を抜かれました。2013年は大人気だった松井裕樹君(桐光学園―楽天)が投げてくれて、スタンドのお客さんもずいぶんよろこんでいましたよ」。県外チームのレベルを知れるだけでなく、超高校級と呼ばれる選手の力と技を生で観られるのがこの招待試合。「勝敗」とはまた別の観点で、試合を楽しむのも良いだろう。小郡市野球場、北九州市民球場の2会場で計4日間、8試合が行われる予定だ。【樫本ゆき】


▽招待試合の予定(第1試合10時、第2試合13時)


【会場:小郡市野球場】

5月12日(土)

九国大付―東海大相模

東筑紫学園―東海大相模

5月13日(日)

九産大九産―東海大相模

福岡―東海大相模


【会場:北九州市民球場】

5月19日(土)

九産大九州―広陵

久留米商―広陵

5月20日(日)

八幡―広陵

東筑―広陵