聖和学園が7回コールド発進した。1回表に2番貞島光浩内野手(3年)から3連続二塁打などで3点を先制。その後中押し、ダメ押し点を挙げて亘理を退けた。昨秋からの県内公式戦で今夏の優勝候補筆頭・仙台育英を唯一破った実力校が、順当に1回戦を突破。12日の2回戦では、春の中部地区大会敗者復活戦で敗れたシード校の泉と対戦する。

 捲土(けんど)重来の夏を迎えた聖和学園が、鮮やかな先制パンチだ。二塁打で出塁した2番貞島を3番南舘慧汰(3年)がかえし、4番門屋龍征(3年)も続いた。3連続二塁打に6番早坂諒太(3年)の右前打で3点。小野浩史監督(32)が「初回の3点が大きかった」と勝因に挙げた。

 12、13年の夏に2年連続の4強入り。昨秋の中部地区大会で仙台育英を破った実力を誇るが、春の地区大会は初戦で仙台東に敗れた。敗者復活戦でも泉に10失点して県大会出場を逃した。小野監督は「いけるだろう、という意識が足をすくわれた原因」と振り返る。先制打の南舘は「謙虚さが足りなかった」と言い、選手も気の緩みなど精神面の甘さを反省。その後、打線は先制後に追加点を奪うことを課題の1つにしてきた。大事な夏初戦は3、4回に1点ずつ取って中押しに成功。春の教訓が生きた。

 2回戦で泉、3回戦は昨秋の地区大会で敗れた東北(初戦の2回戦不戦勝)が待ち受け、4回戦では仙台東との対決が予想される。小野監督は「下克上トーナメント」と選手に伝えた。ノーシードから負けた相手へのリベンジを繰り返し、「もう1度仙台育英と当たりたい」(南舘)と、優勝候補筆頭との再戦を望んでいる。

 「全員が一丸となって戦っているチーム。2年前のベスト4より力がある」と、小野監督は自信を見せた。コールド発進で勢いも手にした。聖和学園の下克上の夏が、始まろうとしている。【久野朗】