昨秋九州大会に初出場しセンバツ21世紀枠地区推薦校にも選ばれた八幡南がベスト16に駒を進めた。左腕エース山川海都(かいと=3年)を中心に守り勝つ野球で、北九州に逆転勝ち。山川は「夏はしっかり実力で行きたい」と、センバツを逃したリベンジに燃える。県内屈指の進学校、東筑も2年連続でベスト16入りした。

 気迫のガッツポーズに魂が込められていた。山川は最後の打者を自慢のチェンジアップで遊ゴロに打ち取ると、雄たけびを上げながら左手を天に突き上げた。2回1死で左越えソロ本塁打を浴びたが「マウンドに立つ以上、だれにも負けない気持ちだった」という。

 3回以降、大崩れすることなく自慢のチェンジアップを決め球に要所を締めた。6安打1失点完投で勝利に貢献し「勝ち進んで甲子園初出場の記録をつくりたい」と声を弾ませた。昨冬から練習後にプロテインを摂取し、昼食に食べるご飯の量を2合に増やした。体重が7キロ増加するとともに筋力もつき、パワーアップにつながっていた。目標にするヤクルト石川雅規投手のフォームを動画サイトで研究してきた成果でもあった。

 昨秋、初の九州大会で屈辱の初戦敗退を喫した。21世紀枠地区推薦校にも選ばれたが、あこがれのセンバツ出場はかなわなかった。それだけに、山川は「夏はしっかり実力で行きたい」とチームの思いを代弁する。勝ちに飢えていた。その執念がチームの逆転劇につながる。5回に押し出し死球で同点とし、7回2死一、二塁で2番中川亮捕手(3年)の右前打を右翼手が返球ミス。その間に逆転に成功した。守備では3戦目にして1失策を記録した。だが福盛徳之監督(35)が「今年はバッテリーがいい。投手を中心によく我慢した。粘り勝ちですね」とたたえる奮闘ぶりだった。「勝つことで支えてくれた親や指導者に恩返ししたい」(山川)。春夏通じ初の甲子園出場へ、選手の士気は高まっている。【菊川光一】

 ◆山川海都(やまがわ・かいと)1997年(平9)7月20日、長崎・壱岐市生まれ。野球は小3から盈科小の軟式野球クラブで始める。小5で北九州市に転校し、則松ファイヤーズに所属。則松中野球部から八幡南に進学し、1年秋からエース。最速127キロ。左投げ左打ち。167センチ、65キロ。