作新学院が国学院栃木を下し、県初の5連覇を達成。5年連続11度目の甲子園出場を決めた。1回、プロ注目のエースで4番の朝山広憲投手(3年)が右翼席へ先制2ラン。打線はその後も攻撃の手を緩めず、3本塁打を含む14安打の猛攻で快勝した。

 作新学院が危なげなく5連覇を飾った。打線が14安打9得点と爆発。初回2死三塁から、4番朝山が右翼席へ先制2ラン。4回には先頭の3番添田真海内野手(3年)が「打った瞬間わかった」と右翼席へソロ本塁打を運び、相手先発の大垣塁投手(3年)をKOした。その後も攻撃の手を緩めず、7回には1番赤木陸哉外野手(3年)も右翼席へソロ弾。ド派手に3発も飛び出し圧勝した。

 ダメを押した赤木は「スタンドに入った瞬間に母がよぎった」と、ダイヤモンドを回りながら亡き母を思い浮かべていた。母加奈子さん(享年48)はがんとの闘病生活の末、2年前に天国へ旅立った。昨夏、甲子園2回戦の沖縄尚学戦に6番右翼で先発したが、3打数で3三振。誰よりも甲子園での勇姿を楽しみにしていた母へ、いい報告ができなかった。

 「来年、また戻ってくるからね」と、今度こそは甲子園で活躍するという思いをバットに込めていた。スタンドには親友で、応援団長を務める斎藤康人内野手(3年)が、母の遺影を持って応援していた。

 赤木は決勝は2安打1打点の活躍。強力打線の核弾頭として、5連覇に貢献した。「エースで4番」のプロ注目、朝山がチームの大黒柱だが、小針崇宏(たかひろ)監督(31)は「攻撃でも守りでも全員の心がひとつになった」と強調した。赤木は「優勝で満足してはいけない。まだ先があります」と、聖地での活躍を誓った。【松尾幸之介】

 ◆作新学院 1885年(明18)創立の私立校。生徒数は3444人(女子1468人)。野球部は1902年創部で部員数は108人。主なOBは元巨人江川卓、ロッテ岡田幸文ら。甲子園出場は春9度、夏は5年連続11度目。所在地は宇都宮市一の沢1の1の41。船田元校長。

◆Vへの足跡◆

1回戦10-3幸福の科学学園

2回戦8-1さくら清修

3回戦13-0小山西

準々決勝8-5文星芸大付

準決勝12-3白鴎大足利

決勝9-2国学院栃木