来春センバツの出場校選考で重要な資料となる今大会は、今夏甲子園優勝の作新学院(栃木)が東海大市原望洋(千葉)を下し、38年ぶり5度目の優勝を飾った。エース大関秀太郎投手(2年)が5安打1失点完投。ドラフトで西武から1位指名を受けた今井達也投手(3年)の「エース魂」を受け継ぎ、3試合連続完投で41年ぶり2度目の明治神宮大会(11月11~16日、神宮)出場をたぐり寄せた。甲子園夏春連覇を目指し、来春センバツへ弾みをつけた。

 代替わりしても、作新学院は強かった。甲子園を優勝し、新チームの結成が最も遅くても秋の関東大会を制した。初戦の中央学院(千葉)戦から、全3試合を1人で投げたエース左腕の大関は「うれしいです。第1戦はプレッシャーがありましたが、徐々に楽しくできました」と投げながら自信をつけ頂点に立った。

 甲子園V右腕の今井から教えられたのは「負けない気持ち」だった。大関は4回まで相手打線を1安打に封じたが、5回先頭の樋口に左越えソロを許した。「自分が打たれると思えば本当に打たれてしまう。今井さんには気持ちが大事だと言われてきました」。切り替えてしっかり後続を断った。前夜は酸素カプセルに入って準備した。「背番号1」を受け継いだエースはマウンドを守り抜いた。

 打線は3試合すべてで先制。機動力を生かし、打順が一巡するまでに必ず得点圏に走者を進めた。先発出場の9人中、甲子園でベンチ入りしたのは1番の鈴木と2番の添田主将だけ。先制打を放った添田はこの日、2安打2盗塁を決め「経験したことを伝えて、またここが新たなスタートだと思ってやっていきたいです」と言った。「作新スタイル」は受け継がれている。

 小針崇宏監督(33)は「ここで満足しては次はない。走攻守でレベルアップして野球の質を高めたいです」と言った。10度目となる来春センバツ出場を確定的とし、甲子園夏春連覇へ勢いをつけた。【和田美保】