第99回全国高校野球選手権大会(8月7日から15日間、甲子園)の出場49校を決める地方大会の戦いが18日、全国のトップを切って沖縄で始まった。最速152キロでプロ注目右腕の平良海馬(かいま)投手(3年)を擁する八重山商工が、0-1で首里に敗れた。国内10球団のスカウトが見守る中、球場表示で151キロを2度計測したが、暴投による1点に泣き、1回戦で姿を消した。

 平良の剛球が球場をどよめかせた。4回だった。無死三塁で相手4番を迎え、3球目だ。「ギアを入れた」という1球は、球場表示で151キロをたたき出した。さらに同2死一、二塁から7番打者の初球にも151キロ。いずれもボールだったが、バックネット裏に陣取ったスカウトのスピードガンでは「154キロ」とも表示された。

 ただ、試合には勝てなかった。5回2死三塁でチェンジアップが暴投となり1点を失った。9三振を奪いながら、7安打完投負け。それでも「フルスイングし、全力投球で投げた。悔いはない」。早すぎる夏の終わりにも涙はなかった。

 八重山商工は06年春夏に沖縄の離島勢として初めて甲子園に出場した。だが、春の沖縄大会は部員7人だったため、初めて連合チームで参加。平良は「野球ができる感謝があった」。この夏は新入生10人が入部し、単独出場にこぎつけた。感謝の思いをボールに乗せたのは確かだった。【菊川光一】

 ◆平良海馬(たいら・かいま)1999年(平11)11月15日、沖縄・石垣市生まれ。真喜良小1年から軟式野球を始める。石垣中で八重山ポニーズに所属し2年時に全国大会出場。八重山商工では1年春からベンチ入りし2年秋からエース。右投げ左打ち。173センチ、81キロ。