東北屈指の進学校・仙台二が、宮城開幕戦を勝利で飾った。緻密な野球を披露し、登米を3-2で下した。得意のデータ野球に加え、昨冬からIT技術を駆使した練習を取り入れて弱点を克服。6安打3得点と効率いい攻撃で、接戦を制した。戦後間もない47年、夏の甲子園4強入りを果たした古豪が下克上を目指す。

 鋭い観察眼が決勝打を生んだ。2-2で迎えた7回裏2死三塁。カウント2-2からの6球目だった。9番の尾形季洋(としき)捕手(2年)は真ん中よりのカーブを右前にはじき返した。狙い球は直球だったが「何球か前に見逃していた」と体が覚えていた。

 今年は5人が東大に進学した超名門校。だがグラウンドはサッカー部と共用で、練習時間は朝練1時間と放課後の約2時間のみ。そんなハンディを補うためデータ収集を徹底し、昨夏8強の登米を丸裸にした。金森信之介監督(31)は「相手のデータ収集はネットでもできる」と、宮城県高野連のホームページに掲載されている、今春の県大会の登米-仙台戦を参考にした。仙台が7盗塁を決めたことから、積極走塁を指示。3盗塁でかき乱した。登米の投手は四球が少ないため、早打ちを指示。2回裏に佐藤慶宗内野手(3年)は初球を仕留め、先制に成功した。

 昨冬から練習中にスマートフォンを使って、投球、打撃、送球のフォームを撮影し合って、研究を積んできた。尾形は大会前に「(打撃で)体の開きが早かったのが分かり、修正できた」と、この日はしっかりタメをつくった打撃で決勝打。守備面も「セカンドスローで(肘を)後ろに引く癖があった」を修正し、3回に二盗を刺した。

 2失点で完投した2年生エース酒井渉も調子が悪いときは、尾形と一緒に投球フォームの動画を見ながら原因を探ってきた。IT技術を活用し弱点を修正、スキルアップにつなげた秀才軍団が宮城に旋風を巻き起こす。【秋吉裕介】