2年ぶり28度目の夏の甲子園出場を目指す天理(奈良)が初戦を迎え、香芝に3-2と競り勝った。接戦で勝利を決めたのは、豪快なスイングから「天理のバレンティン」の異名を持つ、プロ注目の4番神野太樹(じんの・たいき)右翼手(3年)だった。

 同点の7回1死三塁。カウント2-2となり「内角の直球を狙っていた」と、うまく体を回転させて左前に運んだ。この試合3安打目は、決勝タイムリーとなった。

 苦しんだからこそ、生まれた適時打だった。新チームで4番に座ってから、内角を攻められることが増えた。「左肘に(死球が)当たるのが怖い」。恐怖体験を乗り越えるべく、打撃マシンを内角140キロに設定。「最後の夏だから」と徹底的に振り込み、この日も内角をさばいてみせた。

 中村良二監督(49)は「振り切れる4番がいて助かる」と大絶賛。フルスイングで名門を甲子園に導く。【真柴健】

 ◆神野太樹(じんの・たいき)1999年(平11)9月29日、名古屋市生まれ。松栄小3年から「中京エンペラーボーイズ」で野球を始める。天理では1年夏から背番号20でベンチ入り。その夏の甲子園には背番号9で出場した。高校通算12本塁打。座右の銘は「きっとうまくいく」。172センチ、77キロ。右投げ右打ち。