高田北城(新潟)は第2シードの中越に1-8の8回コールドで敗れた。

 惜しみない拍手が一塁側観客席から送られた。試合後、高田北城ナインは生徒、職員ら500人以上の応援団に一礼を終えると、試合中を上回る拍手の渦に包まれた。

 8回裏に1点を追加され、「サヨナラ」のコールドで散った。3連覇を狙う王者の壁は厚かった。3回裏に先制されると、6回裏まで連続で失点した。計8失点のうち2死から6点を奪われた。少しの隙も逃さずに突いてくるしぶとさを、肌で感じさせられた。

 一方で、意地もみせた。0-7で迎えた7回表だ。1死満塁から9番幸村拓馬(3年)の遊ゴロで三塁走者の5番笠原圭(3年)が生還。無得点ならその時点でコールド負けだった。窮地に追い込まれながらも、萎縮せずに堂々と1点をもぎ取った。

 準々決勝(20日)は延長12回の末、長岡工に8-7で競り勝った。翌日21日は学校側の配慮で午前中は公休。午後から軽く体を動かした程度で、体調を整えた。同時に気持ちも引き締め直した。牛木大志主将(3年)は選手全員を集めて言った。「ここからだぞ」。延長を制して創部初のベスト4。1つヤマを越えた気分になりがちなところを、選手自身で自分たちを律した。7回の1点はそんなチーム一丸の象徴だった。

 牛木主将は力強く言った。「いいチームになろうと思ってみんなが1つになった。誇れるチームです」。辰尾健太監督(33)は「これが新しい歴史の始まりになればいい」。ノーシードからつかんだ4強は、今後の土台になる。【斎藤慎一郎】