第99回全国高校野球選手権大会の準決勝で、広陵(広島)中村奨成捕手(3年)が、前人未到の大会6本塁打をマークした。

 保育園から大野東中まで同級生だった幼なじみの田中裕子さん(宮島工3年)は、広島・廿日市市から新幹線に飛び乗って甲子園にやってきた。中学の同級生の寄せ書きが書き込まれたメガホンを持参して、歴史の証人になった。

 「あの泣き虫だった奨成がこんなに活躍するなんて。まるでバケモノ。私が知っている奨成と、たぶん別人だと思う(笑い)」

 小学校の低学年の頃は気が弱く「鬼ごっこで人を捕まえられなくて、いつも泣いてたんですよ」と当時を回想する。高学年になるにつれて、抜群の身体能力が発揮されていった。中学の体育祭の400メートルリレーでは、アンカー中村が1周遅れを巻き返しかけて、周囲を驚かせた。田中さんは「ここまで来たら日本一しか考えてない。優勝したら地元のメンバーで胴上げしたい」とエールを送った。