神宮の借りは甲子園で返す。第90回記念選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)の組み合わせ抽選会が16日、大阪市内で行われた。春夏通じて甲子園初出場の中央学院(千葉)が、37度目の出場となる明徳義塾(高知)と第3日第1試合で対戦することが決まった。昨秋の明治神宮大会準々決勝で敗退したライバルとの再戦。通算25本塁打を放つ「エースで4番」の二刀流、大谷拓海投手(3年)はリベンジマッチに燃える。

 大谷が再戦を熱望していた明徳義塾と、初戦で相まみえることになった。「甲子園で一番当たりたいのは明徳義塾。今度は勝てると思う」。くじ引きをする以前から口にしていた言葉が現実になった。リベンジへ向け、これ以上ない舞台が整った。

 最速145キロを誇るエースは、通算25本塁打を放つバットマンでもある。明治神宮大会では明徳義塾のエース市川から逆方向の左翼席へ特大本塁打を放った。本塁打の約4割は逆方向。「4番の仕事をしたい」と今度は浜風の後押しがある甲子園の左翼スタンドへぶち込むつもりだ。この冬で投球フォームも変更した。スリークオーターだったが肘を上げて投げることで球質が改善した。シュート回転が減り「左打者の内角を練習した冬の成果が出ている」。負けて進化した。

 チームは明徳義塾を「教科書」にして冬を過ごした。昨秋の関東大会で初優勝。大谷の女房役の池田翔主将(3年)は「優勝して、みんなフワフワしていた」と振り返る。戦う前に差を感じた。「明徳はグラウンドに入るのも、キャッチボールも自分たちより全ての準備が早かった。ペースを握られた」。「初めの1歩」が勝負を分けると知り、練習では準備とスピードを重視。ダッシュなら1歩目、打撃ではファーストスイングの集中力を高めた。

 97年夏、市船橋(千葉)3年時に8強入りした相馬幸樹監督(38)は「選手と指導者は全然違う。プレッシャーがすごい」と久々の聖地に苦笑するが、「1ミリでも勝ちにつながることはやりたい」と労を惜しまない。宿舎にコンディショニングルームを用意。選手の睡眠時間も携帯のアプリを使って管理し、万全の態勢で送り込む。初出場校が甲子園常連校を倒す準備は整いつつある。【和田美保】

 ◆大谷拓海(おおたに・たくみ)2000年(平12)7月13日、千葉県生まれ。小2から野球を始め、滝野中では船橋シニアに所属。中央学院では1年春から外野手で出場し、秋からエース。昨秋の関東大会では主に「4番投手」で初優勝の立役者となった。180センチ、77キロ。右投げ左打ち。