アクシデントに泣いた。4年ぶり出場の駒大苫小牧(北海道)は、昨秋東海大会優勝の静岡(静岡)に0-7で敗れた。試合前のシートノック中、7番で先発予定だった道原慧(さとる)一塁手(3年)が送球を右目に受け、病院に緊急搬送された。関西入り後、打率6割1分5厘と好調だったキーマンが急きょ欠場。持ち前のつなぐ打線がかみ合わず、散発4安打で無得点に終わった。北海道勢としては3年連続の初戦敗退となった。

 狂った歯車を最後まで修復できなかった。4安打と打線が不発で、佐々木孝介監督(31)にとって初の初戦敗退。「僕自身がバタバタしてしまった。監督として、自分に腹が立っている。立て続けにいろんなことが起きて、狙いを定めさせられなかった。北海道の代表として申し訳ない気持ちが大きい」と険しい表情で話した。

 想定外の事故から始まった。シートノック中に道原が負傷し緊急搬送。試合開始後も、トラブルが続いた。初回、1死二塁で3番小林が頭部に死球を受け、治療のため5分の中断を挟んだ。1死一、二塁の好機では4番横地が併殺に倒れ、好機を逃す。1回裏の守備では、先発大西が1球投げてから、三塁舞原と、道原に代わり一塁で出場していた福岡が入れ替わった。福岡は三塁が本職で、舞原は昨秋まで一塁だったため、規則に準じ、1球投げてからの交代措置だった。

 聖地での初戦。その序盤で起きる多様な変化に、選手の気持ちがブレた。関西入り後の対外試合で打率6割と好調だったキーマン道原が不在。舞原は「何とか勝って道原と、もう1回甲子園でやりたいという思いがあって、みんな焦っていた。自分が自分がという雰囲気だった」と悔やんだ。はやる気持ちに加え、静岡エース春のストライクゾーンの四隅を使った投球に翻弄(ほんろう)され、打者30人で内野ゴロ15。三塁を踏めず、わずか84球で完封された。

 佐々木監督は「力を出し切れず、もどかしい気持ちでいっぱい。いい経験をさせてもらった。このままじゃ終われない」と目に力を込めた。14年春に監督1勝も、夏は経験がない。仕上げにこだわりすぎた4年前を反省し、今冬は夏を見据え、走り込みと基本的な守備強化に力を入れてきた。2失策で敗れた明治神宮大会に比べ、今回はゼロ。屈辱の敗戦からつかんだ光明を、次なるチャレンジにつなげる。【永野高輔】