全道10地区のトップを切って札幌地区で代表決定戦4試合が行われた。札幌国際情報は5-2で北星学園大付を下し、06年以来12年ぶり4度目の地区突破を決めた。2-2の8回1死一、三塁で4番池田龍成主将(3年)が勝ち越しの右前適時打を放ち、勝利に導いた。北海、札幌日大、札幌第一を含めた4校が、全道大会(28日開幕、札幌円山)に出場する。

 粘った。8回1死一、三塁、札幌国際情報の池田は、プロ注目腕の北星学園大付エース杉村に食らいついた。ファウルで粘り11球目、やや外寄りの直球を、右に打ち返した。「相手も気持ちが入っていたし、最後は気持ちの勝負だと思った」。必死でたたきつけた打球は、押し込まれながらもバウンドして一塁手の頭上を越えるラッキーな決勝打となった。

 目が合った。打席に向かう直前、元日本ハムの有倉雅史監督(50)が、池田に言った。「このチームはお前が引っ張ってきたんだ。だからスクイズはしない。打ってこい」。監督は優しく笑っていた。「目を見て、任されていると感じた」と池田。緊迫した場面での絶妙な指示が、主将の責任感を最大限、引き出した。

 徹した。昨秋は地区初戦で立命館慶祥に1-2で敗れた。「低めの球に手を出し無駄な空振りが多かった」と有倉監督。冬場は上下動を抑えボール球を見極められるようバスター打撃に時間を割き、今大会は2ストライクから、すべてバスターにした。「強く振れなくなるが安打が増え三振が減った」と池田。8回の決勝打も3ボール2ストライクからのバスターだった。

 耐えて倒した。3回戦まですべて逆転勝ち。代表決定戦は初回に2点先制も、杉村が登板した2回以降、最速141キロの直球と鋭いスライダーに翻弄(ほんろう)され、5回まで完全に封じられた。「相手投手の疲れが出る終盤に必ず流れが来る」。池田を中心にじっと時を待ち終盤、球速の落ちた直球に的を絞り、一気に剛腕を攻略した。

 現3年生は2年前の夏、南北海道大会をスタンド応援。1回戦敗退も池田は「独特の雰囲気で、僕も大舞台でやってみたいと思った」と言う。12年前の春全道は4強進出。しぶとさを武器に、再び旋風を巻き起こす。【永野高輔】