第100回全国高校野球選手権記念岩手大会が今日6日(岩手県営野球場ほか)開幕する。毎年恒例「白球にかける夏’18」の最終回は、夏の甲子園過去3度の出場を誇る花巻北を特集する。今春はエース右腕の佐々木健(たける、3年)が獅子奮迅の活躍で8強入りした。高田との2回戦では投球間わずか5秒前後で投げ込み、最速139キロの直球と鋭角スライダーで毎回の18奪三振で3失点完投。古豪に現れた「ハイテンポエース」が、47年ぶりの夏に導く。

 第100回の夏は「ハイテンポエース」佐々木健が、かき回す。172センチ、75キロの体から最速139キロの直球と、切れ味抜群のスライダーをはじめ4種類の変化球をリズムよく投げ込む。「チームの目標は当然、甲子園。私立を倒して行きたい。第100回の夏に挑戦できる。お母さんは僕をいい年に産んでくれた」と意気込んだ。

 古豪進学校のエースは考えることが違う。高田との春の県2回戦。6者連続を含む相手先発全員から全18個の三振を奪ったのには、理由があった。初回に先制を許し、頭を整理した。「相手が打ち気にはやっている」。2回から突如、佐々木健は投球テンポを一気に上げた。捕手からの返球を捕球しながらサインをのぞき込み、間髪入れずに投げ込む。その間、わずか5秒。相手打者に狙い球を考えさせる余裕すら与えず「構えが遅れたり、明らかに戸惑っていた」。相手をあざ笑うかのようにポンポンと130球を投げ込み、わずか2時間5分で料理した。

 今春の県大会は2試合で計18回4失点と安定した。盛岡三との準々決勝は2回戦と連投となるため登板を回避し0-8で敗戦したが、夏本番に向けて順調に調整を続けている。細川幸希監督(44)は「ストライク先行だったのが良かったし、バッテリー間の息も合っていた。まさにちぎっては投げの状態。今はこのテンポが合っている」と分析。佐々木健は高い制球力が自慢で1年夏から公式戦に登板する大黒柱。昨秋からコンビを組む高橋一希捕手(2年)とも息がぴったりで、出されたサインに首を振ることは、ほぼなかった。

 第5シードの花巻北は10日の初戦2回戦で久慈工と、地元花巻球場で激突する。当日は同校名物のバンカラ応援団に率いられた約700人の全校応援をバックに投げ込む。佐々木健は「夜遅くまで応援団が練習しているのを見てきた。絶対に負けられない試合」と力を込めた。“ハイテンポエース”が織りなすリズムに乗って、一気に古豪復活を宣言する。【高橋洋平】

 ◆花巻北 1931年(昭6)創立の公立進学校。生徒数は696人(女子363人)。野球部は34年に創部し、63年、66年、71年の過去3度夏の甲子園出場。主なOBは伊藤政則(音楽評論家)。所在地は花巻市本館54。菅野慎一校長。