花巻北のエース右腕、佐々木健(たける、3年)が久慈工相手に9回7安打9奪三振3失点で完投し、チームを6年連続の初戦突破に導いた。第2、3、4シードが初戦で敗退する波乱が続く中、「どこも苦しんでいる。(シードが)負けたのはびっくりしたけど、自分たちの野球をやるだけ。苦しかったけど、勝ててよかった」と胸を張った。

 公立進学校のエースは考えることが違う。降りしきる雨の中、持ち味である投球間隔わずか5秒の「ハイテンポ投法」を序盤はあえて封印した。「雨の中での投球は今までなかった。速いテンポを意識して投げ急ぐぐらいなら、まずは落ち着いて投げようと思っていた」。雨がやんだ6回に追い付くと、そこから徐々にテンポを上げて7回の勝ち越しを引き出した。

 この日、地元花巻球場で行われた初戦には同校名物のバンカラ応援団に率いられた全校生徒約800人が駆けつけた。雨の中、かれるほどの声援を浴びた佐々木健は「3年生は授業があるのに来てくれた。感謝しかない」と汗をぬぐった。14日の3回戦は宮古商と激突。一気にペースを上げ、相手を幻惑する。【高橋洋平】