昨夏準優勝だった鳥栖が、「忘れ物を取りに行く」を合い言葉に逆転勝ちを収めた。1点を先制されても慌てない。2回に2安打4四死球に敵失をからめて一気に5得点。その後も得点を重ねて5回コールドで8強を決めた。堀江幸弘監督(53)は「前の試合では、初回に満塁弾を浴びて逆転して勝った。選手の方がどっしり構えてました」とナインの冷静さに目を丸くした。

 雪辱の優勝は、5年前に66歳で他界した元鳥栖監督の平野国隆氏への恩返しにもなる。平野氏が監督として初めて甲子園に出場した時の主将でもある堀江監督は「毎試合、公式戦の日の朝は、学校にある記念碑に全員でお参りしている。なんとか甲子園に出ないと」と語気を強める。平野氏の教え子でもある広島緒方孝市監督(49)の強さも刺激になっている。「今季、セ・リーグ3連覇に向けて頑張っている。私も頑張らないといけません」。この日3安打3打点だった中島滉季内野手(3年)も「偉大な先輩を誇りに甲子園に行きたい」と意気込む。02年以来、16年ぶりの夏甲子園へ突き進む。【浦田由紀夫】