<高校野球長野大会:佐久長聖4-3上田西>◇22日◇決勝◇松本市野球場

 どうしても、今年の夏甲子園に行きたかった。1点を追う9回2死。代打の9番打者が三振に倒れ、斎藤慶喜外野手(2年)の夢はネクストバッターズサークルで終わった。「自分に回ってきたら何が何でも打つと思っていた。お父さんも、お兄ちゃんも高2の夏で甲子園に行ったのに。悔しい」。喜びに湧く佐久長聖ナインをじっと見つめた。

 父和平さん(50)は上田西の元監督で、選手としては丸子実(長野)2年時に甲子園へ出場した。兄尊志さん(亜大2年)も上田西2年時に聖地の土を踏んだ。斎藤は「高2で甲子園に出場するプレッシャーをずっとかけられていました」と笑う。家族全員足が速く、斎藤も50メートル走5秒8の俊足。この夏は1番打者として毎試合安打で勢いづけた。決勝戦の初回も内野安打を放ち先制点につなげた。

 父と兄の背中を追うチャンスはまだある。「来年がある。佐久長聖を倒さないと甲子園に行けない。来年こそは勝ちたい」。慶喜の由来は江戸幕府第15代征夷大将軍の徳川慶喜。歴史好きの母が名付けた。ネクストで見た景色を忘れず、来年こそ「慶喜」の名を甲子園に響かせる。【和田美保】