<高校野球西東京大会:東海大菅生5-3八王子学園八王子>◇23日◇準々決勝◇神宮球場

 八王子学園八王子(西東京)が東海大菅生に敗れ、安藤徳明監督(56)と安藤大斗主将(3年)の“親子鷹”の夏が終わった。「父を甲子園に連れて行きたい」と野球を始めた小学2年時からの夢はかなわなかった。「他の家ではなかなかできない経験。連れて行きたかった。申し訳ない」と主将は大粒の涙を流した。

 この日は最終回に二塁打を放ち、執念を見せた。4回戦の早実戦では熱中症でふらふらになりながらも「ここで勝っても負けても、最後はグラウンドに立っていたい」と涙ながらに訴え、8回まで強行出場。「父を甲子園へ」とチームを引っ張った。

 そんな姿に徳明監督は「まあ…この球場(神宮球場)で野球をやっているのは想像できなかった。体は大きくないし本当にうちでやれるのか心配だった。この3年間で…たくましくなった」と言葉をつまらせた。

 大斗主将の夢は途絶えたが、八王子学園八王子の“親子鷹”で甲子園の可能性は残される。大斗主将の弟健(たける)くんは現在、中学3年。町田ボーイズに所属し、八王子学園八王子進学を目指している。大斗主将と同じ二塁や遊撃を守る。大斗主将は「父を甲子園への夢は弟に託します。父はバッティングピッチャーをやってくれるなど、選手と一緒にやってくれる人だった。『特にこれ』という思い出はないが、3年間毎日が楽しかった。『ありがとう』を伝えたい」。兄の思いを弟に託した。【久永壮真】