大阪桐蔭(北大阪)の「二刀流」根尾昂内野手(3年)がこの夏初めてマウンドに立った。「柿木が1勝して横川が2勝して、早く投げたいと思っていました」。はやる気持ちを球に込め4安打1失点完投。西谷浩一監督(48)は「神経戦の中でよく投げきってくれたと思います」と労った。

 仲間があっての粘投だった。4回に同点に追いつかれ、なおも2死二塁。次打者に右前打を許したが、右翼・青地斗舞外野手(3年)がホームへの好返球で救った。2-1の7回には、2死一、三塁のピンチ。伝令に来た柿木蓮投手(3年)が「ピッチャーだけに任すな」と伝えた。直後に一塁・井阪太一内野手(3年)が鋭いライナーを好捕球。「普通だったら抜けている当たりを捕ってくれて、かなり流れを引き寄せてくれた」と根尾も感謝した。

 前日24日の4回戦もそうだった。3回2死一、二塁。遊撃の根尾の前に打球が飛んだが、イレギュラーとなり中前適時打になった。失点した後、根尾は主将の中川卓也内野手(3年)に「お前1人で取り返しにいかなくていい」と声を掛けられた。「自分も切り替えようと思っていたし、思ったことを言ってくれてすごい主将だなと思いました」。信頼できる仲間が後ろを守ってくれていた。

 27日の準決勝の相手は、17年センバツの決勝で対戦した履正社。根尾が入学してからは5度対戦し3勝2敗だ。西谷監督は「大阪で一番強い相手だと思っていますので、しっかりと戦いたい。お互いに勝つためにやってきたと思います」。チーム一丸でライバルに挑む。【磯綾乃】