島田商が18-7で掛川西を破り、78年ぶり5度目の夏の甲子園出場に王手をかけた。決勝進出も、全国大会が戦争で中止となった1941年(昭16)の県優勝以来、77年ぶりで戦後初だ。4番杉山竜勢外野手(3年)が、3安打5打点を放つなど、打線が掛川西投手陣を攻略した。決勝は明日27日、草薙球場で行われる。

 長く長く閉ざされていた聖地への扉に、島田商ナインが手を掛けた。勝利の瞬間、一塁側応援席ではブルーのメガホンが、激しく打ち鳴らされた。池田新之介監督(41)も満足げな表情で言った。「もともと力のある子は少ないですが、1人1人が小さい力を出し合って、試合ごとに成長していますね」。

 18-7。結果だけを見れば圧勝だが、随所に「粘り」と「勝負強さ」が見られた。今大会初先発の太田晏光(はるあき)投手(2年)が、1回表2死満塁のピンチをしのぎ、その裏に、2死満塁から4得点。6回裏2死満塁から、4番杉山が3点適時三塁打を放つまでの10得点は、すべて2死からの得点だった。この日までに満塁機で2度、三振に倒れてきた杉山は胸を張って言った。「ここで打たなきゃ、男じゃないと思いました。4番として、チームに貢献できてよかったです」。すべて単打で4安打を放った3番奈良間大誠主将(3年)も「自分たちらしい粘りの島商野球ができたと思います」と声を弾ませた。

 77年ぶりの決勝進出は、2年エース小林史弥の力投によるところが大きい。前日、延長14回タイブレークで211球完投勝利を飾り、一夜明けて6回から9回まで79球を投じた。それでも、この日は同じ2年生投手の太田が5回1失点と奮起する中で、打撃で3年が存在感を示した。杉山は言った。「ここまで来たら、甲子園しかないです」。

 全選手、OB、関係者、すべての思いを胸に、重い扉をこじ開けに行く。【鈴木正章】