第100回の夏の決勝は仙台育英と古川工が激突する。古川工は柴田を3-1で破り、3年ぶりの決勝進出。エース右腕・小松龍生(3年)が9回3安打1失点で完投した。決勝は今日28日に行われる。

 エース小松が、後ろで守る仲間に向かって、両手を高々と突き上げた。クルリと180度回転し、涼しげな表情で鎌田大作捕手(3年)とハイタッチ。わずか97球での3安打1死球1失点完投に「三振を狙いにいくのではなく、仲間を信じて打たせてとることを徹底しました。しっかり守ってくれた野手に感謝です」。7年ぶり2度目の甲子園に、あと1勝とした。

 初回には「ヤバイと思った」。柴田打線がファーストストライクから思い切り良く振ってきた。想定以上に研究されていることも感じ、捕手と相談して配球を変えた。直球中心から変化球中心へ。4回裏にスクイズで先制点を奪われたが、5回以降は無安打に封じ、逆転劇を導いた。

 昨秋は県2回戦で柴田に0-7。今春は地区予選で敗退。四死球で乱れて走者をため、甘い球を痛打される小松に対し、大会中に仲間の不満が爆発した。「オレたちが信じられないのかよ」。大会後、間橋康生監督(47)の部屋に呼ばれ、11年初出場時のエース山田大貴の映像を隣で見た。「1球1球、振り返って野手とコミュニケーションをとっていた。自分に足りないものが分かった」。初回に失策した仲間に、真っ先に「次はバントあるよ」と笑顔で会話する精神面の成長。固い信頼が躍進の源だ。

 仙台育英との3年前の決勝では0-13と大敗。前日26日の夜には、個人的にユーチューブで映像を目に焼き付けた。「当時の先輩や地域の方も応援してくれている。1つになって甲子園に挑戦したい」。仲間を信じて。【鎌田直秀】