第100回の夏の決勝は仙台育英と古川工が激突する。2連覇を狙う仙台育英は仙台三を5-2で下し、2年連続の決勝進出を決めた。背番号10の2年生右腕・大栄陽斗(あきと)が4回に逆転した後の6回途中から2番手でマウンドに上がり、無失点で試合を締めた。決勝は今日28日に行われる。

 背番号10の大栄が躍動した。6回無死二塁から2番手で登板。先発のエース田中星流(3年)が二塁打を浴びた直後のマウンドにも動じず、4回2安打無失点。先制を許す苦しい展開の中、後続をピシャリと断って2年連続の決勝戦に導いた。「いつも通り投げられた。3年生と1日でも長く、最後まで野球をやりたい」。ベンチ入り20人中、2年生は大栄と4番の小濃塁外野手の2人のみ。下級生が意地を見せつけた。

 自由自在の投球だった。この日、自己最速まであと2キロと迫る138キロ直球と、2種類のスライダー、チェンジアップをコースに投げ込み、無四球でまとめた。「コントロールには自信がある。今日はスライダーが良かった。追い込んでから、低めに集められた」。須江航監督(35)も「3球連続で同じコースに投げられる。球1個分の出し入れができる」と正確無比の制球力を絶賛した。

 自信がみなぎっていた。大栄は6月に行った大阪桐蔭との練習試合に登板。7回で9安打を浴びながら2失点に抑え、手応えをつかんだ。「春のセンバツ優勝チームを相手に収穫があった。バックを信じて粘って投げられた」と成長を実感。今大会は先発田中に続くロングリリーフを任され、勝利の方程式を確立している。「ここに立っていられるのは、先輩や支えてくれた人たちのおかげ。恩返しするために、甲子園に出たい」。先発田中との2枚看板が盤石な限り、仙台育英は負けない。【高橋洋平】