木更津総合(東千葉)のエースで4番・野尻幸輝投手(3年)は敦賀気比(福井)戦で8回途中1失点。昨秋から投手に挑戦し、東千葉大会は背番号5だった右腕が快勝に導いた。

 野尻は聖地のマウンドを堪能した。「コースを突いて芯を外すことができた」。強打の敦賀気比打線に対して初回からストライク先行でテンポよく打たせて取り、8回途中7安打1失点。4番打者としては2安打を放ち、五島監督に節目の甲子園10勝目をプレゼントした。「去年は内野手として甲子園を経験したけど、マウンドの方が喜びが大きい」と笑顔を見せた。

 甲子園では1年夏からベンチ入りし、昨夏は5番三塁で出場した。昨秋、県大会準決勝で敗退後、エース白井竜馬(3年)の腰痛による離脱に伴い投手に挑戦した。高校では投手経験がなく、スピンの利いた球を投げるのに苦労。練習試合などで好投できなかった4月上旬、五島監督に呼び出された。

 野尻 「真剣にやれ」と言われ目が覚めた。経験があるから大丈夫だと過信して妥協していた。投手は甘くなかった。

 新たな挑戦が始まった。練習への取り組み方を変え、誰よりも早くグラウンドに出て練習。練習後もボールを手放さず、寮では2キロのボールを軽く投げ上げて捕る動作を繰り返した。東千葉大会前、ようやく「積極性が出てきた」と五島監督の信頼をつかみ取った。

 大阪桐蔭・根尾とは岐阜・高富中3年時にボーイズリーグの岐阜県選抜で一緒に戦った仲だ。「同じ舞台で活躍したい」と刺激にしてきた。「根尾は中学から注目されてきた。でも、自分も努力してきた。対戦できたらアイツのフルスイングを抑える」。負けるつもりはない。【保坂淑子】

 ◆野尻幸輝(のじり・こうき)2000年(平12)10月6日、岐阜・山県市生まれ。小1から野球を始め、高富中では関ボーイズに所属。木更津総合では1年春から内野手で出場し、昨秋から投手に挑戦。今夏の東千葉大会では準決勝でサイクル安打など打率4割7分6厘。趣味は音楽鑑賞。好きな言葉は「感謝」。178センチ、80キロ。右投げ左打ち。