金足農(秋田)が東北勢の希望をつないだ。8回の逆転劇で名門・横浜(南神奈川)を5-4で撃破し、東北勢8強進出の歴史を11年連続に伸ばした。2点を追う8回無死一塁、4番打川和輝内野手(3年)が中前打で好機を広げ、6番高橋佑輔内野手(3年)の逆転3ランにつなげた。

 金足農打線が集中力を見せつけた。4番打川が放った会心の一撃が、逆転3ランの呼び水となった。8回、先頭打者のエース右腕・吉田輝星(3年)が安打で出塁し、打川はカウントを取りにきた121キロフォークを捉え、強烈な中前打でお膳立てした。「2点差あったので、とにかくつなぐ意識でした」。鹿児島実との初戦で打球が当たって左手首を痛めた影響もあり、大垣日大(岐阜)との2回戦では2三振を含む無安打。9打席ぶりの安打に「次につながる1本」と満足し、高橋の本塁打には「打って当然」と笑った。

 10年前、同校の創立80周年記念招待試合で横浜と秋田市内で対戦した。校舎内の廊下には1-4で敗れた当時のスコアや写真が掲示。横浜の主砲だった筒香嘉智外野手(26=現DeNA)の写真もあった。仲間と「いつか、横浜と甲子園でやりたいよね」と話していた目標が実現。同じ主砲の打川が結果を出した。

 今日18日の準々決勝では近江(滋賀)と対戦する。甲子園での勝利後は焼き肉がご褒美で振る舞われ、どんぶり3杯の白飯で肉を食べ続ける打川は、「次は自分もチャンスで打たないといけない」。打川弾も飛び出せば、過去最高に並ぶ4強入りがグッと近づく。【鎌田直秀】