八戸学院光星(青森1位)が5-3で盛岡大付(岩手1位)を振り切り、5年ぶり5度目の優勝を決めた。主将の武岡龍世内野手(2年)が、1回表に右越え2ランを放ち先制点を奪うと、9回表にもダメ押しとなる中越え適時三塁打。今夏の甲子園で得た経験値を生かし、攻守で精神面でもチームを引っ張った。11月9日開幕の明治神宮大会では、7年ぶり2度目の頂点に挑む。

優勝まで、あと1人。武岡は、仲間とアウトカウントを確認すると、自然に笑みがこぼれた。遊飛のウイニングボールを捕球すると、大喜びでマウンドへ走った。「投手を中心に粘り強く戦えた。接戦が楽しくて仕方なかった。神宮大会にも行けるので、うれしいです」と喜びをかみ締めた。

初回は攻撃でチームを勢いづける。1死二塁から内角高めの変化球を右翼席に運んだ。今秋からチームで徹底してきた、追い込まれてからの「ノーステップ打法」。タイミングを外されても、インパクトだけ強振する技術で結果を出した。「最後の三塁打の方が理想通り。常にショートの上に強い打球を打つ意識。それが長打にもつながる」。読み通りの初球直球を、会心の一撃で締めた。

甲子園直後、仲井宗基監督(48)から「キャプテンやりたいか?」と打診された。「ハイ」と返事したが、同監督は9月中旬まで高校日本代表ヘッドコーチとして不在のまま。正式就任は今大会直前だが「自分もみんなも、そのつもりでやっていた」。今夏の甲子園2回戦。龍谷大平安(京都)相手に自身の守備のミスも含め、弱点を突かれ14失点した経験を、仲間に還元するのを役目とした。「グラウンドの課題は、その場で解決する」がテーマ。「仲が良すぎて、言い過ぎちゃってケンカみたいになることもあった」。時には課題修正だけで練習終了。寮に不穏な空気を持ち込まないことも徹底した。

エース後藤や4番・近藤遼一内野手(2年)ら、甲子園ベンチ外の悔しさを味わった仲間の反骨心とも共存。目標を神宮大会と定め、融合した。尊敬する長南佳洋前主将(3年)からは大会前に「お前の結果よりチームの結果。一喜一憂するな」とLINEで激励を受けた。「バントや守備のミスも多かったが、そこを直していけば、もっと強くなれる。『神宮で優勝を狙えます』と報告します」。11年夏から3季連続で甲子園準優勝した同校の歴史。塗り替える活力となる、大きなタイトルを得た。【鎌田直秀】