第91回選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)の出場32校を決める選考会が今日25日に大阪市内で開かれる。注目は昨年の高校球界の主役、大阪桐蔭。近畿は6枠の割り当てがあるが、昨秋の近畿大会はベスト8で、条件的にはボーダーライン上にある。ともに史上初となる春夏春の甲子園3連覇、春の甲子園3連覇への挑戦権は舞い込むのか。【取材・構成=柏原誠】

「うちは無理でしょう」。昨秋から、あいさつのように聞かれてきた大阪桐蔭・西谷浩一監督(49)は苦笑いする。「もう(選考の)結果は自分たちでどうこうできない。秋に2回負けた分、やり返すという気持ちで1年間頑張ろうと生徒に声をかけています」。雑念は捨てて、真冬のグラウンドに立ってきた。

昨秋の近畿大会は初戦で橿原(奈良2位)に大勝。勝てばセンバツ濃厚の準々決勝で智弁和歌山(和歌山1位)に2-5で敗れた。甲子園連覇から2カ月で訪れた苦しい現実。名将は「チームを1度ばらした。秋にメンバー外だった選手にもチャンスを渡した」。紅白戦を含め20試合以上こなし、底上げを徹底した。

プロ4人を出した前チームから様変わりした。昨夏の甲子園ベンチ入りは主将の中野波来外野手と宮本涼太内野手(ともに2年)の2人だけ。彼らに加え、秋の公式戦でチーム最多3本塁打の西野力矢内野手、同2本の船曳烈士外野手の1年生コンビがいる打線はハイレベルで将来性も十分。ただ、秋は時間が足りなかった。新チームの始動は他より1カ月遅い8月23日だった。

短い準備期間で、激戦区・大阪準優勝の事実は考慮すべきとの声もある。そして春夏春3連覇、センバツ3連覇への挑戦。選考材料のメインは昨秋の成績と中身だが、別の要素が選考会でどう評価されるか。近畿ベスト8勢の福知山成美(京都1位)報徳学園(兵庫3位)市和歌山(和歌山2位)を含めた4チーム間の条件差は少なく、選考は難航が予想される。

練習に参加していた3年生も1人抜け、2人抜け、それぞれ次のステージに旅立っている。中野主将は「チームは変わっているんだと自分たちに言い聞かせている。自分たちにはやらないといけないことがある」と引き締める。地に足をつけて、その瞬間を待つ。

◆近畿(6枠)展望 昨秋の近畿大会4強の選出は堅い。ベスト8勢から残り2枠が選ばれそう。内容的には市和歌山。優勝した龍谷大平安に大接戦の末、サヨナラ負けした。大阪桐蔭もややリードか。短い準備期間で大阪準V。大記録の話題性もある。福知山成美は京都1位。龍谷大平安の近畿Vが有利に働くか。報徳学園は好投手を擁する。また天理(奈良1位)は初戦で龍谷大平安と接戦したが、地域性を加味しても8強には劣る。

◆大阪桐蔭と出場を争う各校のコメント

報徳学園 最速141キロ左腕の林直人投手(2年)を擁して、秋は堅守の報徳らしい戦いを見せた。前評判の高い近江(滋賀)を倒すも、同県の明石商に0-4。大きなアドバンテージは得られていない。大角健二監督(38)は「期待せず、希望を持ってやっています」と独特の言い回しで心境を表現した。

市和歌山 近畿大会準々決勝で、優勝した龍谷大平安にサヨナラ負け。互角の戦いができたが、県大会で智弁和歌山に6点差を逆転されたように半田真一監督(38)は「勝ちきれない。まだまだ」と厳しい練習を課している。昨夏からのエースで投打の要、柏山崇外野手(2年)は「早く試合がしたくてワクワクしている」と吉報を待っている。

福知山成美(京都) 履正社との準々決勝は14安打を浴びながら5失点にとどめた。小橋翔大投手(2年)が不調ながら踏ん張り、京都王者の意地を見せた。井本自宣(さだよし)監督(45)は「ボロ負けでもおかしくなかった。新チームとしてはよく戦ったと思う。甲子園の可能性を残して冬に練習できているのはプラスです」とチーム力アップに励んでいる。