金足農に続くぞ! 石岡一(茨城)が21世紀枠で選ばれ、春夏通じ初の甲子園出場を決めた。今年で創立110年目の伝統校は、普通科に加え、園芸科と造園科を有する。今秋ドラフト候補にも挙がるエース岩本大地投手(2年)は造園科で学び、造園技能検定3級の腕前。昨夏甲子園を沸かせた日本ハム吉田輝星投手(18)に憧れる最速147キロ右腕は、甲子園1勝を目指す。

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吉報が届き、岩本は自然と笑みをこぼした。「今日1日、ドキドキでした。大舞台で持っている力を発揮して1勝したい」。午後3時過ぎ、21世紀枠選出を大和田校長から知らされると、仲間と拳を突き上げた。

過去の自分を上回る。この冬は黙々と走り込む。5キロ走から10メートルダッシュまで、バラエティーに富むメニュー。「吉田投手みたいに、低めのストレートの伸びが欲しい」からだ。昨秋県大会は準決勝で藤代に敗れた。延長13回まで1人で投げたが、タイブレークの末、サヨナラ負け。疲れから球が浮いてしまった。「そういうのをなくしたい」と下半身強化に取り組む。同じ“農業系エース”として、吉田や金足農の躍進が励みになった。吉田の投球は動画サイトなどで繰り返し見ている。「似たタイプと言われます。真っすぐでファウル、空振りが取れるように。同じ結果は無理でも、大舞台で自分の投球をしたい」と思い描いた。

剪定(せんてい)など造園科の授業は「集中しないと危ない。黙々と取り組むのが野球に生きる」と捉えている。球界のエース候補に憧れるが、もう1人、尊敬するという人物が俳優の佐藤二朗(49)。昨秋のテレビドラマ「今日から俺は!!」でファンになった。名脇役の演技に「アドリブで笑いを取るのがすごい。感性というか。投球でも、相手が何を狙っているか見抜かないといけない」と、意外な人物からも学んだ。

そんなエースに、川井政平監督(44)は「コントロールも磨いている。それなりに投げてくれると思う」と期待する。部員49人全員が地元・茨城出身。出場が決まると、OBや地元ファン約50人がグラウンドへお祝いに駆け付けた。「真っすぐの感覚は良くなっているけど、もう少し求めたい」と岩本。本番まで、鍛錬を緩めない。【古川真弥】