23日に開幕するセンバツの最注目選手、星稜(石川)の奥川恭伸投手(3年)が16日、滋賀県彦根市で近江(滋賀)と練習試合。全国クラスの強豪に対し、7回94球を投げて無失点。イニングはこの春最長で、球数も同最多。5安打、無四死球と危なげなく退けた。

ドラフト候補に挙がる近江・有馬諒捕手(3年)が奥川の投球に感嘆した。昨年の春夏の甲子園を経験している主将は「かなり完成度が高い投手だと思った。自分がどうこう言える立場じゃないけど、対戦した中で1~3番の投手。吉田さんは直球でビュンビュンくるタイプ。奥川くんは変化球も素晴らしく総合力がかなり高いと思いました」と率直に振り返った。

昨夏の甲子園準々決勝で金足農・吉田輝星(現日本ハム)と対戦している。サヨナラ逆転2ランスクイズを決められ、突っ伏して動けない有馬の姿は記憶に新しい。今回のセンバツ切符は惜しくも逃しただけに、優勝候補との一戦は特別だった。「センバツに出るチームを撃破して、夏に甲子園に行けたらと思っていた」。昨年からバッテリーを組む左腕、林優樹投手(3年)の好投を引き出し、1-1に持ち込んだ。

奥川を称賛する一方で、4番の意地を示した。初回に泳ぎながら左前打。4回の第2打席も中前打と2安打を浴びせた。「いい投手から打てて自信になった。試合に出た人も、出ていない人も、すごくいい経験になったと思う」と爽やかに笑った。