第91回選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)に3年ぶり10度目出場の八戸学院光星(青森)が18日、東日本勢の先陣をきって甲子園練習を行った。

エース右腕・後藤丈海(3年)と「4番一塁」近藤遼一(3年)は初の聖地。昨夏の県大会ではメンバー入りしたが、甲子園直前でベンチ外の悔しさを味わっただけに、待望の夢舞台での活躍を誓った。練習前には初戦(26日)で対戦する広陵(広島)の試合映像もチェックし、東北勢初優勝への準備を着々と進めた。

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後藤は甲子園のマウンドに立つと、白い歯を見せずにはいられなかった。投手陣がズラリと横一列に並ぶ中、真っ先にプレートに足をかけた。「小さい頃からの夢の場所。練習だけれど、うれしい。自分の役割を発揮できそうだなと思った」。躍動感あふれる投球フォームで、わずか10球。直球だけを全力で投げ込んだ。力みすぎて一塁側方向に倒れ込む場面も。それでも手応えは十分だった。

昨夏の青森県大会は背番号11でベンチ入り。大間との準々決勝では同学年の山田怜卓投手(3年)と6回コールド無安打無得点リレーを達成。甲子園出場に貢献したが、直前でメンバー外。「悔しかったけれど、泣いている場合じゃなかった」。気持ちを押し殺し、同学年5人らを含む選手たちの打撃投手を務め続けた。「今、思えば夏場に投げ込みしたみたいな感じ」。昨秋の東北大会優勝を導き、明治神宮大会を含む公式戦防御率1・70の土台にもなった。

主砲の近藤も同じ境遇を味わった。大阪入りしたメンバーと離れ、八戸で悔しさをボールにぶつけて振り込んだ。「ようやく甲子園で練習できた。めちゃくちゃデカイ」。地元の奈良から何度も足を運んできたスタンドから想像していた雰囲気とは、まったく違った。「自分は4番なので、ここで打ってほしいという場面でチームの勝利を導く1本を打ちたい。ホームランも打てそうに感じる特別な場所」。30分間すべて守備練習に終始したが、ファーストミット片手にフルスイングのイメージ。「(ソフトバンク)柳田選手みたいな感じで」と笑いが止まらなかった。

19日からは3日連続で2試合ずつ、計6校と練習試合が予定されている。数多くの投手や打者と対戦し、今冬の成果を試す最終機会。ようやくたどり着いた聖地の感触が、2人の気持ちもさらに高ぶらせた。【鎌田直秀】