静かな湖畔から、新たなドラフト候補高校生が出現した。霞ケ浦(茨城)の右腕・鈴木寛人投手(3年)が11日、同校グラウンドでの横浜隼人(神奈川)との練習試合に先発。予定の4回を投げ2点を失ったものの、6奪三振と力強さも示した。

高橋祐二監督(59)が「この冬にグッと来ました」と驚く伸び盛り右腕のうわさは、さっそくスカウト間に広まり、すでに国内全12球団が視察済み。この日も日本ハム、阪神、楽天のスカウトが視察する中で、自慢の直球は常時140キロ、最速145キロをマークし、空振りを量産した。12日も強豪校相手に先発予定のため早めに降板したが「あまり力まずに、いい感じで投げられたと思います」と満足そうだった。

DeNA綾部、広島遠藤ら好投手を続々輩出する同校で、鈴木も入学当初から約20キロの球速アップに成功。自己最速は148キロに達した。高橋監督の指導で30メートルの立ち投げで球筋を安定させた。複数のチェックポイントから投球フォームを固めた。「自分も昔から沈みながら、体重移動するフォームでした。教わった通りにやっていたら、どんどん伸びていきました」と振り返る。

150キロ到達も視野に入るが「まだ(実力に)自信がありません」と謙虚だ。勝負球が時折甘くなり、この日もそこから失点した。「投げ急いで、マウンドでの立ちが甘くなり、流れやすくなる。力んでアーム投げ傾向になるのも修正しなくては」と高橋監督も指摘するなど、未完な部分もまだある。

一方で、185センチの長身からの直球の威力は、十分にドラフト指名を意識できるレベル。5月3日には「関東屈指」と評判の花咲徳栄(埼玉)の強力打線相手に8回で6失点しながら、8三振を奪った。希望進路は「まずはプロを目指したい」と慎重に話すものの、夏にはますます注目される存在になりそうだ。【金子真仁】