福岡大会は、01年以来2度目の夏甲子園出場を目指す九産大九州が、昨夏の南福岡大会決勝で完封負けした沖学園を9-2の8回コールドで下しリベンジ発進した。昨夏ベンチ入りのエース恒吉幸司投手(3年)が8回5安打2失点。打っては、3回一挙6得点の口火を切る安打を放つなど、投打に「倍返し」した。また、この日は雨の影響で鹿児島、宮崎など中止順延が相次いだ。

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九産大九州が攻守に圧倒しリベンジを果たした。6-2で迎えた8回2死満塁から田中裕大外野手(3年)の走者一掃の左中間二塁打で8回コールド勝ち。昨夏南福岡大会決勝で敗れた沖学園の前で胸を張り校歌を歌い終えると、選手の中から「オッシャー」と雄たけびが上がった。森崎哲哉監督(60)は「僕の心の中では去年の思いを絶対晴らさないといけないと思っていた。リベンジに燃えていました」。昨夏ベンチ入りしたエース恒吉、堤捕手を中心に選手も宿敵撃破へ燃えていた。

中でもチームの執念を象徴したのが恒吉だった。「次は自分たちの代がしっかりやらないといけない」と気持ちで99球を投げた。4月下旬に右上手から横手投げに変更したばかりだが、指揮官が「(練習試合の)32イニング連続無失点で、この大会に入った」という好調ぶりを持続していた。

恒吉が「130キロ出てません」という直球ながら、185センチの長身と長い腕から繰り出すスライダーやツーシームで打者のタイミングをずらして翻弄(ほんろう)だ。2ランを浴びたが森崎監督が「よく投げて試合をつくってくれた」とたたえる力投だった。

打っては猛攻の起爆剤にもなった。3回1死から「打てない打者が打つといい流れになる」(森崎監督)という右前打で出塁。打者11人で6得点の口火を切った。昨夏のエース村上幸人(福岡大1年)の無念の思いも背負い「1人で全試合投げ抜いた村上さんに近づけたら」。九州6大学野球の春季リーグでMVPに輝いた偉大な先輩も刺激に、01年以来2度目の甲子園出場を狙う。【菊川光一】

◆昨夏の南福岡大会決勝VTR 沖学園が1-0で九産大九州を下し、春夏通じ初の甲子園出場を決めた。沖学園は、先発の背番号10、斉藤礼(らい)投手(3年=現福岡大)が、わずか2安打完封。4試合連続完投だった。3回1死二、三塁から二ゴロの間に奪った虎の子の1点を守りきった。九産大九州は、エースとして6試合計53イニングを1人で投げ抜いた村上幸人投手(3年=現福岡大)の力投が報われなかった。